浅黄色の恋物語

第11章 道程

 3月も10日を過ぎて函館でも雪はほとんど見られなくなった。
確かにこれだけを見れば温暖化が否応なしに進んでいることが分かる。
 どうかすると4月でもドカ雪が降る北海道だ。 こんなのは珍しい。
でも考えてみると数万年前は日本も亜熱帯だったんだよね。
 だから鰐も居たし像も居た。 そして水稲も生息していた。
田んぼってのは水稲に高温多湿だった過去の記憶を呼び起こさせるための仕掛けだったんだ。
 そうじゃなかったら水稲栽培は根付かなかったよ。
朝鮮から伝えられたって言うけれどあちらさんにはそんな技術も風習も無かったんだからね。

 まあ、それはさておきダウンジャンバーも冬靴も卒業してぼくも身軽になりました。
油断するとまだまだ肌寒いんだけどさ。
 そんな中でも久子姉さんは元気いっぱいですねえ。 なんかホッとする。
こういう気温の変動期には体調を崩す人が多いから。
 ぼくだって調子の悪い日は有りますよ。
去年は肝臓に血石が溜まって痛い思いをしたしね。 時にはぎっくりだってやる。
 でもこの半年、仕事を休んだことは有りません。
まあ週に二日だけの仕事だから体調を整えやすいっていうのも有るんだけど。
 今後はどうなのかなあ?
 そんなことを考えながら休みの日は過ごすわけですよ。
寝てると久子姉さんの夢を見たりもする。
いつ訪ねても喋り捲るくらい元気な人だからねえ。
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