低温を綴じて、なおさないで

受け入れざるを得なかったキスで、勘違いさせてしまっただろうか。わたしの足をなぞってスカートの中に侵入するかしないかで自由に動く大きな手を制止する。これ以上、葉月くんにわたしを差し出せない。



絡まった指も同じようにほどいて、光を失って欲望だけを取り込んだ彼の視線と、わたしの諦めた視線を結びつけた。



身体だけ離して立ち上がって、はっきりと拒絶を言葉にして空中に放り込んだ。




「行きません、葉月くんとはできません。ごめんなさい、おかしいってわかってる、矛盾してる。それでも、ほかのひとならいやなことも、直ならいいの」


「……何、あいつはそんなに上手いの? 俺そんなにキス下手だった?」


「そーじゃなくて、あの、わたしは──」


「あーもういいよ。テキトーに女呼ぶから。ヤれない女なんて興味ねーからさ」




< 103 / 314 >

この作品をシェア

pagetop