低温を綴じて、なおさないで
今まで聞いてきた葉月くんの声と180度回ったような低くてつめたい、氷を纏ったような声。こんなにもあっけなく終わるんだ、と悲しくなって、まったく見抜けなかった自分が情けなくなった。
……いや、本当は、ずっとわかっていた。初めて会った日からわかっていた。
葉月くんの周りに女の子がたくさんいることなんて、考えなくてもわかることを考えようとしていなかった。
そういう関係の子ばかりだって、言動や仕草を見ていれば簡単にわかるはずだった。あんなにかっこよくて女の子に慣れていて、誰にでも合わせられるようなひとに彼女がいないなんて相応の理由があるに決まっていた。それか、もしかしたらこの世界のどこかに彼女が、本命の女の子がいるかもしれない。