低温を綴じて、なおさないで



その声に、反射的に顔を上げて、声の持ち主の視線の先へ顔を向けた。


つられたのか、同じように顔を上げた茉耶が視界の端に映った。



視線の先、わたしたちの座るテーブル方面へと歩いてくる葉月くんがいた。



声をあげたその子以外にも、周りが葉月くんに気がつけばみんな視線を奪われていた。まるで視線泥棒。



たくさんの熱っぽい眼差しを受けながら歩く葉月くんはまるで王子さま。かっこよくて、人を惹きつけるオーラがある。




葉月くんのことを知らなくても目の前から歩いてきたら思わず見惚れてしまうと思う。




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