低温を綴じて、なおさないで




自然と会話が成り立っていく。周りを完全シャットアウトしたから認識しないようにしているけれどおそらくまだまだ嫌悪と刺々しさの悪意はわたしに向かって降り注いでいるだろう。



葉月くんは顔採用と噂のカフェでアルバイトをしている。仮に顔採用であってもそうでなくても葉月くんならどこでも受かるだろう。


彼の人当たりの良さと自立した性格を凌駕するビジュアルによって結果的に顔採用となっているだけだろう。



別のところだけれど、直もカフェでアルバイトをしていたことがあった。


何回か直のバイト姿を見に行って「スマイルください!」と世界でいちばん面倒なお客さんごっこをした。



さすがの直も困惑していたけど、結局はやさしいとびっきりの笑顔をくれたこともよく覚えている。似合ってたな、制服。




店内の女の子の視線をひとりじめするそのひとのこと、わたしは小さいときからずっと知ってるんだよって言って回りたくなったんだっけ。





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