恋より仕事と決めたのに、エリートなお隣さんが心の壁を越えてくる
「この辺りの建物は全部明かりが消えてるな。やっぱり近くで落雷があったんだろう。復旧までどれくらいかかるか……」
言いながら、彼がこちらに戻ってくる。小さなスマホのライトがぼんやり部屋を照らす中で、ふと目が合った。
「怖い?」
「……少しだけ。真城さんがいてくれるおかげです」
そう言って彼の手にスマホを返そうとしたら、手が滑って床に落ちてしまう。
「あっ、ごめんなさい」
「いいよ。俺が拾う」
私たちは同時にスマホに手を伸ばし、先に拾い上げた私の手の上に真城さんの手が重なった。私は動揺し、せっかく拾ったスマホを再び落としてしまう。
その時、ライトが点灯している面が下になってしまったため、部屋は再び暗闇に包まれる。
外でまた雷が鳴ったけれど、今は自分の鼓動の方が大きく聞こえた。
「……約束、したのにな」
「えっ?」
「きみのそばにいると……我慢のない自分がすぐに顔を出す」
どこか苦しそうにも聞こえる真城さんの声音にドキッとした直後、掴まれた手をぐっと引かれて体のバランスを崩した。
視界が暗くても、ふわりとシャツから立ちのぼった香りと温もりで、倒れ込んだ先が彼の胸の中であるとわかった。
予想もしなかった展開に、目を白黒させる。