恋より仕事と決めたのに、エリートなお隣さんが心の壁を越えてくる
真城さんには惹かれているけれど、これまでの恋と同じ結末をたどるくらいなら、お隣さんと相棒のポジションを維持した方が、お互い嫌な思いをせずに済む。
だったら……。
「私は――」
言いかけたその時、締め切ったカーテンの隙間から一瞬光が漏れる。
間髪入れずに雷が落ちた轟音が部屋中に響き渡り、私は呼吸を止めた。
「大丈夫? 結構近くに落ちたな……」
真城さんが呟いた直後、今度は部屋の明かりがふっと消えてしまう。
嘘……落雷だけでなく、停電まで起きるだなんて……。
「神崎さん、これを持って」
不安でどうにかなりそうで、思わず目を閉じていた私の耳に、真城さんの冷静な声が届く。うっすら目を開けると、彼が点灯させたらしいスマホのライトで一瞬目がくらむ。
しかし、その向こうに彼の顔を確認すると、なんとか息をすることを思い出した。
そうだ、今の私はひとりじゃない――。
「これを持って、どうすればいいんですか?」
「俺の足元を照らしてほしい。外の状況が見たくて」
「はい、わかりました」
言われるがまま窓辺に続く床の辺りにライトの位置を合わせると、真城さんがソファから下りて光の上を歩き、窓から外を確認する。