恋より仕事と決めたのに、エリートなお隣さんが心の壁を越えてくる
「……やっぱり、緊張しますね」
家族の前では平気にしていても、昴矢さんの前ではすこし弱気になって、本音がこぼれた。
昴矢さんのご両親とは結婚前に一度彼の実家で顔を合わせているけれど、うちよりずっと立派な邸宅だったし、ご両親もどことなく上品な雰囲気で、心に余裕があった。
昴矢さんの優しさには、きっと育ちの良さも関係あるのだろう。
私は弟たちと海老を取り合うような家で育ったので、真城家に嫁ぐのはやっぱり相応の覚悟と緊張を伴う。
「大丈夫。俺が隣にいるだろ」
昴矢さんがそっと私の手を握り、微笑みかけてくれる。
彼がそう言ってくれるだけで、ただの強がりではなく本当に〝大丈夫〟だと思えるから不思議だ。
甘えることにもすっかり慣れた私は、彼の優しさを素直に受け取って、「うん」と頷いた。
式と披露宴には、家族や親戚の他にパンドラパントリーの同僚や、友人たちも出席してくれた。その中には昴矢さんの幼馴染である翔真さんと那美さん夫妻、そしてふたりの愛娘である祐美ちゃんもいる。