恋より仕事と決めたのに、エリートなお隣さんが心の壁を越えてくる
私側のゲストも、年齢的にちょうど子育て真っ最中という友人が多かった。
なので気兼ねなく参加してもらえるよう昴矢さんと相談し、子どもたちの食事に配慮するのはもちろん、途中で中座しやすいようあまり凝った催しなどはしない、大きな音は流さないなど、ゆったりしたプランを組んだ。
厳かな式の最中でもかわいい喃語が聞こえるとほっこりしたし、なかなか会えずにいた友人とその子どもの顔がいっぺんに見られて、とてもうれしかった。
すべてのプログラムを終え会場の出口でみんなを見送り終わると、自然と抱いた憧れが、口をついて出る。
「私たちも、いつかは欲しいですね。赤ちゃん」
昴矢さんがフッと笑って、身を屈める。そして、披露宴が終わって忙しなく周囲を動き回るスタッフに聞こえないよう、小声で囁いた。
「いいよ。俺は今夜から子作り頑張っても」
ベッドの中で会話する時のような甘い声に、一瞬で頬が熱くなる。
彼とはまさに今日、永遠の愛を誓い合い夫婦になったわけだからなにも恥ずかしいことではない。
それでも、まだスタッフが行き交う、披露宴の余韻を残した会場の片隅で言われると慌ててしまう。
「いやその、私はそういうリアルな話をしたわけではなく……!」
「嫌なの?」
昴矢さんはこうして時々ずるい質問をして私を困らせる。
返事はわかっているけどね、というようなしたり顔が憎いけれど、残念ながら否定はできない。