恋する花束を君に
「みんな俺の噂をする程、俺が好きなんだなぁ〜。」
そう言いながら、由美子とは反対側のわたしの隣に座る航太。
絵里は「出た出た、自分大好きな勘違い野郎。」と言った。
「なごみ、昨日は残業お疲れさん!」
航太はそう言いながら、わたしの肩に手を置いた。
わたしは「誰のせいで残業になったと思ってるの?昨日そそくさと帰って行ったくせによく言うよ。」と言うと、わたしの肩に乗る航太の手を払った。
「まぁまぁ、無事終わったんだから、良かったじゃん?」
そう呑気な言い方をする航太にイラッとするわたし。
すると、絵里が「昨日、薗田さんがなごみと一緒に残業して、手伝ってくれたらしいよ〜。」と言い出した。
わたしは「絵里!余計なこと言わないでよ!」と言ったが、時既に遅し。
航太の表情が一気に険しく変わるのが分かった。
「薗田?何であいつが?あいつもなごみ狙いか。」
「違うって。最後の作業手伝ってくれただけだから。」
「いや、普段残業しないあいつが、残業してまでなごみを手伝ったなんて、なごみに気があるに違いない。」
あーあ、航太の薗田さんへの敵対心が発動してしまった。
わたしが絵里を睨むと、絵里は楽しそうにクスクス笑っていた。
「一言、文句でも言ってやらないと気が済まない。」
航太はそう言うと立ち上がり、食堂を見渡すと薗田さんを探し始めた。
「ちょっと航太!文句って意味わかんないから!わたしは手伝ってもらって助かったんだから!」
「いや、俺のなごみに近付くなんて良い度胸だ!」
「わたしは、航太のものじゃありません!」
すると、航太の視線が一点に止まった。
航太の視線の先には、端の方のテーブルに1人座り、本を読む薗田さんの姿があった。