恋する花束を君に
薗田さんから目を離さないまま、航太は歩き出した。
わたしは航太を止めようとしたが、絵里が「ちょっとどうなるのか見てようよ。」と楽しそうに言った。
薗田さんに迷惑かけちゃう、、、
どうしよう、、、
わたしは心の中で薗田さんに謝った。
「おい。」
薗田さんの目の前に立ち、航太が声を掛ける。
薗田さんは本からゆっくりと視線を上げると、一度眼鏡を外し、目頭を押さえたあと再び眼鏡をかけた。
「何でしょうか。」
「お前、昨日なごみの残業を手伝ったんだってなぁ?」
「あぁ、、、大変そうだったので。坂巻さんは、さっさと帰られたみたいですね。」
図星をつかれ、一発パンチでも食らったような表情を浮かべる航太。
そんな航太を見て、「図星つかれてやんの。」と絵里はクスクス笑っていた。
「お、俺にだって用事ってもんがあんだよ!それより今後、なごみに近付くな。なごみは、俺の女になるんだからな。」
「ん?なるんだから、、、ってことは、まだなってないってことですよね?いつも強引で自分勝手で、そのやり方で三崎さんを振り向かせられる自信があるんですね。」
航太の挑発的な発言に、冷静に対応する薗田さん。
航太は薗田さんの言葉に何も言い返せず悔しそうな表情を浮かべていた。
薗田さんは「せっかく顔が良いのに、思いやりが足りないなんて勿体ないですよ。」と航太にトドメをさすと、航太は「何だよ、偉そうにしやがって。」と捨て台詞を吐き、どこかへ行ってしまった。
薗田さんは表情一つ変えず航太の後ろ姿を見送ると、再び本に視線を戻していた。
絵里はクククッと笑うと、「航太、自分から仕掛けたくせにカッコ悪っ!薗田さん、対応が大人で意外とカッコいいかも。」と言っていた。
あとで薗田さんに謝らないと。
わたしはそう思いながら、冷めたオムライスを口へ運んだ。