恋する花束を君に
そのあと、わたしは仕事なんてやる気になれなかったが、元々4パターン作っていたデザインに手直しを加え、その中から航太に選んでもらうことにした。
「なごみ、ありがとう。あとは、俺がやっておくよ。」
いつも強引で自分勝手な航太が、今日は優しかった。
そして、パックの野菜ジュースをポンッとわたしのデスクに置くと、「元気出せよ。」と言い、航太は自分のデスクに戻って行った。
あれ、航太?
全然いつもの航太じゃないみたい。
その日、わたしは魂でも抜けたんじゃないかと思うほど、身体に力が入らなかった。
それから時刻は定時になり、みんな帰り支度をして帰って行く。
すると、「なごみ。」と航太が声を掛けてきた。
「今日、家まで送ろうか?」
いつもの下心がある言い方とは違い、本当に心配してくれているんだなぁと分かる言い方だった。
「ううん。ありがとう、大丈夫。今日は1人で帰りたいんだぁ。」
わたしがそう言うと、航太は「そっか。じゃあ、気を付けて帰ろよ。」と言い、退勤して行った。
絵里も「お疲れ。じゃあ、また明日ね。」と言い、帰って行く。
わたしは一番最後にタイムカードを切り、退勤すると、会社を出てバス停まで歩いて行った。