恋する花束を君に
給湯室に入ると、わたしは「どうしたの?話があるって。」と絵里に訊いた。
絵里は何か言いづらそうに複雑な表情を浮かべ、「あー、どうしよう。」と頭を抱えた。
「何があったの?」
わたしがもう一度訊くと、絵里はゆっくりわたしの方を見て、「実は、、、妊娠した。」と言ったのだ。
「えっ?あれ?絵里って彼氏いたっけ?」
「居ない、、、。」
「えっ?じゃあ、誰の子なの?」
わたしがそう言うと、絵里は絞り出すような小さな声で「、、、航太。」と答えた。
「えー?!こうっ、、、!!!」
わたしはつい驚きのあまり大きな声を出してしまい、途中で慌てて口を塞いだ。
「こ、航太?!何でまたそうなったの?!」
「前に航太がなごみに壁ドンした日のこと覚えてる?」
「あぁ、、、そんなこともあったね。」
「あのあと、航太になごみのことで相談に乗って欲しいって言われて、2人で飲みに行ったの。それで航太がめちゃくちゃ酔ってて、航太の家もわからないから送りようないし、仕方なく近くのホテルに連れて行って、、、。」
「そしたら、そうなっちゃったのね、、、。」
わたしの言葉に絵里は気まずそうに頷いた。
「まさか、あの1回でこうなるなんて、、、。」
「妊娠検査薬とか使ったの?」
「うん、、、陽性だった。」
「航太には?話したの?」
「まだ、、、病院行ってから、話そうと思ってる。」
「そっか。ちゃんと2人で話し合うんだよ?」
わたしがそう言うと、絵里は頷き、「とりあえず誰かに話を聞いてもらいたくて、、、浮かんだのが、なごみだったんだぁ。」と言った。
「わたしに話してくれてありがとう。航太には話しづらいだろうけど、大事なことだから、、、1人で抱え込まないで話し合うんだよ?頑張って。」
「ありがとう、なごみ、、、。」
わたしは絵里を抱き締めると、背中を擦り、それから「ここに命があるなんて不思議だね。」とお腹を撫でさせてもらったのだった。