恋する花束を君に
それから2日後、絵里は産婦人科に受診し、妊娠は確定。
その後、きちんと航太に話したらしい。
航太はやはり驚いていたようだが、「責任は果たす。」と言ってくれたらしい。
2人はもちろん付き合っていたわけでも無ければ、お互いに意識していたわけでもないので入籍はせず、航太には認知だけしてもらい、絵里は未婚の母として出産すると覚悟を決めたようだった。
絵里のお母さんもシングルマザーの為、赤ちゃんが生まれたあとは「一緒に育てていこう」と言ってくれたらしく、産後は実家に引っ越すと言っていた。
そして、このタイミングでわたしは販促課のチーフになり、その特権を使い、絵里が体調が悪くて仕事を休む日は、商品部から販促課所属の経験がある航太を借り出せるよう課長に要請し、オーケーを貰った。
幸いなことに、絵里は悪阻が軽いようだが油断は禁物。
「体調は遠慮なく休んでいいからね?今は自分の身体を一番に考えて?」
「うん、ありがとう。なごみ。」
それから、絵里の妊娠を期に航太からのアプローチはなくなった。
航太なりに考えての行動なんだろう。
わたしは絵里の体調を気にしながら、少しずつ前のように仕事に集中できる環境を取り戻していった。
もちろん、由美子とのことは傷として残っている。
でも、いつまでも傷付いてなんていられない。
あれはあれで、自分の心の中で留めておいて、仕事は仕事として頑張らなくてはいけないのだ。