孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
「ごめん、なんの話?」
盛り上がる三人とはまるで違う温度差で、きょとんとしている。
そんな様子に、他の三人から「もー」やら「聞いてなかったの?」と抗議の声が上がった。
「高坂機長の話だよ。難波さんと付き合ってたりするのかね?って」
「あー、そうなのかもねー?」
まったく興味関心なし、といったところ。その様子についふっと笑ってしまう。
彼女はそう言うと、「時間ないからちゃっちゃと決めよう」と、なにか仕事関係のことなのか、ペンを手にテーブルに視線を落とした。
「もー、真白はほんと興味ないよね」
他の三人も渋々雑談を終え話し合いを始める。
三森真白は、うちの航空会社の関連会社に勤めるグランドスタッフ。
俺が機長として働き始めた三年前にはすでにグランドスタッフとしてこの空港で働いていた。
彼女の存在を知ったのは、機長として操縦桿を握るようになって一年目の時。
搭乗時間を過ぎても行方のわからない乗客が一組、空港内を捜索する騒ぎになったことがあった。
定刻通り離陸できないかもしれないということは自身が機長になってからは初めてのことで、自らが探し回ることもできない立場にやきもきしていた。
その時に空港内で乗客の捜索に当たってくれていたのが彼女、三森真白で、定刻を守るために乗客と共に搭乗口まで走ってきたと後にチーフパーサーから報告を受けた。
そんな一件から、一度彼女にお礼を伝えたこともある。