孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
「なにをしてるんだ、こんなところで」
遥さんに厳しい声をかけられ、難波さんは慌てたように取り繕う。
「違うの、遥くん。私たちの関係のために、この人とは話をつけないといけないから」
「私たちの関係? 前に言ったはずだ。君との話はとっくについてる。互いの両親も承諾済だと思うが?」
「そんなことない! 私は遥くんと──」
「とにかく」
必死に食いつく難波さんと、普段と変わりない冷静な口調で話す遥さん。
難波さんの声を遥さんが遮った。
「愛し合って一緒になったんだ。部外者は夫婦の関係に口出ししないでくれ」
とどめとも言える言葉を遥さんの口から聞かされた難波さんは、数秒間時が止まってしまったように表情を固め、その後、一気に目に涙を浮かべる。
大きな目からぼろぼろと涙を流し、両手で顔を押さえた。
「遥」
そんな時だった。
後方から遥さんを呼ぶ声がして振り返る。
向こうから歩いてきたのは、スーツ姿の男性ふたり。
声をかけてきた男性は、年の頃は六十代後半といったところだろうか。そのすらりとした立ち姿で、もしかしたらとハッとする。
この方、遥さんの、お父様……⁉