孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
「本当にあなたと結婚なんてしているの? 信じられない」
黙っている私に、難波さんは容赦なく詰め寄る。相当な自信もあるのだろう。その表情には不敵な笑みも浮かんでいる。
「信じられなくても、別に構わないです」
やっと返って来た私からの言葉に、難波さんは眉を寄せる。
敵意をむき出しにするその表情に慄きそうになったけれど、心を強く持って口を開いた。
「あなたに信じてもらわなくてもいい。でも、誰がなんと言おうと、遥さんの妻は私です」
果たすべき役目もある。
でも、私が遥さんを想う気持ちも後押しして、この言葉をはっきりと口にできた。
見る見るうちに、難波さんの顔が怒りで歪んでいく。飛びつくように私の二の腕に掴みかかり、勢いよく揺すられた。
「ふざけないでよ! どんなご身分で妻だなんて名乗ってるわけ⁉」
彼女が私に手を出しても、決して手は出さない。
耐える私にお構いなしで、難波さんは突然私のスカーフをむしり取る。
「このネックレス、エンゲージネックレスだとか噂で聞いたけど、全部妄想の虚言なんでしょ⁉」
「やめてっ」
ネックレスを掴まれそうになり、慌てて体を反らして回避する。必死に掴もうとする彼女の長い爪が首を掠った。
「ふざけないでよ!」
思い通りにネックレスを奪えなかった彼女は、力いっぱいに私を押し飛ばす。
倒れる──そう思った時、背中から受け止めるようにして抱き留められた。
私を突き飛ばした難波さんが、驚いたような顔で固まる。
「大丈夫か」
すぐ斜め上から降ってきた声で、難波さんの表情の意味を知った。