孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~


 今でもよく覚えている。高校受験を控え、三者面談があった日だった。学校での面談の帰り道、母に唐突に言われた言葉。


『真白、帰ったらママ家を出るから』


 意味が分からなかった。

 その言葉通り、母はその日の夕方に家を出て行ったきり帰ってこなかった。

 その後、何度か電話がかかってきたことはあった。

 その電話では、生活が落ち着いたら一緒に住もうと言っていた。でも、その電話もそのうちかかってこなくなった。

 あとから祖母に聞いた話だと、私たち子どもにはそのうちまた一緒に暮らすことができると伝えていたけれど、初めからその気はなかったようだと言っていた。

 母は継父とふたりで生きていくことを選び、私たち子どもを捨てたのだ。

 それから時は流れ、私が専門学校を卒業する春、母は病によって亡くなったと知らせがあった。

 母が家を出て行った時、奈子は六歳、蒼は三歳。

 ふたりとも、母の記憶はほとんど残っていないと言う。

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