孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
「あ、蒼。お姉、今日デートっぽいよー」
「え、マジか」
奈子の勝手な情報に蒼は顔面いっぱいに驚きを見せる。
「ちょっと奈子! 誤情報を広めないで!」
「姉ちゃんにもやっと春がきたか、良かったじゃん」
「だから違うってば、蒼までやめてよ」
弟の蒼は中学三年の受験生。
中学二年の一年間は思春期真っ只中であまり話してくれなかったけれど、今年に入ってから徐々に会話も交わしてくれるようになった。
元々姉弟で仲がいいからというのもあるかもしれないけれど、中学生の男子にしては珍しいタイプなのかもしれない。
成長と共にこの家で一番身長も高くなり、唯一の男手として家族から頼りにされている。蛍光灯の交換とか、家の中で虫が出た時は蒼が対処してくれる。
この家には、母方の祖母と、私たち三人、四人で暮らしている。
私たちの両親はもう他界してこの世にいない。
父は物心つく頃にはすでにいなかった。私が生まれてすぐの頃に病死したと聞かされている。
母は父との死別後、私が保育園の年長さん、六歳になる年に彼氏ができた。
再婚を前提にこの家にも住み、その翌年に再婚。私が小三の時に奈子が、小六の時に蒼が生まれた。
それから三年もしないうち、私が中三の秋に母は私たち子どもを置いて再婚相手とふたりでこの家を出ていった。