孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
「戻った。……なにしてるんだ?」
帰宅しリビングに入ってきた高坂機長は私のほうを見て不思議そうにわずかに目を大きくする。
「えっ、あ……夕飯の用意をしてました」
特に疑問もなく買い出しをして支度をしていたけれど、よくよく考えてみれば、私が手料理を作るというのは意味がわからない。
偽装結婚をするというだけで、本当の夫婦ではないのだ。
言ってしまえば同じ空間では過ごすけれど、実際は他人なわけで。
人によっては、他人の手料理は受け付けない人だっている。
それなのに、なにも伺わずに勝手に食事の用意なんてしちゃって……。
「一緒に食事をしようとは言ったが、作ってくれているのか」
「え……?」
失敗したと思った矢先、高坂機長からは予想外の言葉が。
私が立つキッチンに入ってくると、調理の様子を覗く。
「パスタか」
エビとアスパラガスがごろごろ入ったソースのフライパンと、沸かし始めたパスタを茹でるだろう鍋が湯気を立てている。
「はい。あと、スープと、デザートを簡単にですが」
高坂機長はボソッと「すごい」と言い、「なにか手伝うことはないか」とシンクで手を洗い始めた。