孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
「奥さんとは結婚式ぶりですね」
遥さんがにこやかにお連れの奥様にも声をかける。
「ご無沙汰してます。いつもお世話になってます」
奥様とは、ふたりの結婚式ぶりに顔を合わせるようだ。
そんなやり取りを前に、自分の立ち位置にハッとする。
これは……結婚したと、妻だと紹介される初めての場では……⁉︎
「三森さん、といったかな」
桐生機長の目が私へ向き、思わず「はい!」と威勢のいい声が飛び出す。
「お疲れ様です!」
この場に浮いた挨拶をしたような気がして落ち着かなくなった時、遥さんが「実は……」と話を切り出した。
「彼女と一緒になったんだ」
対面するふたりの表情が、一瞬意外な話を聞いたように変化する。
そして、次の瞬間には揃ってにこやかな顔になった。