孤高なパイロットはウブな偽り妻を溺愛攻略中~ニセ婚夫婦!?~
「そうだったのか、知らなかった」
桐生機長は「おめでとう」と祝福の言葉をくれる。奥様も「おめでとうございます!」とにこやかに言ってくれて、雑貨店の売り場が突然のお祝いムードに包まれた。
「ありがとう。まだ、公にはしてないんだ。正式には桐生が初めてだ」
「そうか。式は挙げるのか」
「まだ決めてない。ふたりで決めようと思ってるところだ」
桐生機長とそんなやり取りをしながら、さっき見ていたマグカップを手に取る。
私に向かって「これでいいか?」と訊いた。
「あ、はい!」と返事をすると、遥さんは持っていた店内買い物カゴにそれをふたつ入れる。
「そんなわけで、今後ともよろしく」
「ああ、式を挙げる時は必ず呼んでくれ」
「もちろんだ」
機長同士のそんなやり取りを目の前に、桐生機長の奥様と女同士挨拶を交わす。
ふたりは仲睦まじく雑貨屋の奥へと入っていった。