王子は愛しき姫の目覚めを待つ
「……キスしてもいいですか?」
「……キスだけでいいの?」

 控えめに、けれど甘えるような坂嶺くんのお願いごとにいたずらっぽく返すと、彼はあわてて首を横に振った。
 その反応がかわいくて思わず笑みをこぼした唇が次の瞬間、あっという間に奪われる。
 キスを交わすと甘い吐息が混ざって、体をなぞる彼の大きな手が、濡れた唇が、私の体をあたためていく。

「あかりさん……」

 私を優しく抱きながら名前を呼び、惜しみなく好きと囁いてくれる彼のことが次第に私にとって誰よりも愛しいひとに思えてきてその広い背中をぎゅっと抱きしめた。

 坂嶺くんに抱かれたことに後悔なんてない。
 
 むしろ本当に愛すべき人に出会えたと思えてるから今の私はとても幸せだ。
 ただ、反省はある。大いにある。

「俺がいないところで、お酒は飲まないでくださいね」

 お酒に関してはすぐに彼とそう約束をしたほどには。
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