極愛〜狙われたら最後〜
病室の前まで行くと憔悴しきった将臣さんが項垂れて座っていて、私と半沢に気がつくと立ち上がった。

「雫さん…聞いたか?」

「はい。大体は…」

「すまねぇ。俺もいたのに…!」

将臣さんは頭を下げる。

「将臣さんのせいじゃないです!」

「倒れて気を失う直前、兄貴はあんたの名前を呼んだんだ…」

そんな…。
思わず目頭が熱くなりグッと歯を食いしばった。

「でも意識が戻ったら…。すっかり忘れちまってて…」

「そ、そう…」

「視力は治る。ただ記憶は…わからないそうだ…」

「とりあえず顔だけでも見たい」

「ああ。中に入ろう」

私はコクっと頷いた。
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