極愛〜狙われたら最後〜
ちくしょう。

何で私があの男の事で頭をいっぱいにさせなきゃならないのよ。

この優秀な記憶力を憎む。

「ッチ」

ここにいる時くらいは普通の人間として過ごしていたかったのに。

「あの…鈴木さん。大丈夫ですか?」

すると急に隣りの人に話しかけられる。
この人は私と同じ派遣社員の松田さん。

唯一たまーに話す。

「大丈夫ですけど。何か?」

つい八つ当たりのように冷たく返事をしてしまった。

「あ、いや何でもないならいいんです。ごめんなさい、邪魔して」

そう言って松田さんはまた業務に戻った。

そっと引き出しから飴を取り松田さんのデスクに置く。

「ご心配ありがとう」

波風は立てたくない。

松田さんは驚いた顔を見せたあと安心したように微笑んだ。

「ありがとうございます」

そう言って、松田さんからはチョコレートをもらった。

「ありがとう」

私もマスク越しに笑って見せた。


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