Star Shurine Gardian ―星の大地にある秘宝の守護者―
ポラリスはどこに?
《ポラリスがない! この台座に納めていたはずなのに…!!》
「じゃあ、やっぱり誰かが持ち出したんですね」
フォマルハウトは淡々と言った。が、内心はアルコルと同じように焦っていた。アルコルが見た半年前の怪しい人影と、妖星疫が蔓延した時期がちょうど重なる。ポラリスが盗まれたことが、疫病をもたらしたとみて間違いないだろう。
「ど、どうすればいいの!?」
カペラが慌てふためく。
「どうするって……ポラリスを取り返してここに納め直すしかないだろう」
3人は、元来た道を戻ることにした。
「アルコル、その怪しい人影はどんなものだったんです?」
フォマルハウトが武曲の祠の近くにあった庵で、アルコルに聞き取りをすることにした。帳面と炭の筆を持つ顔つきは、いつもの記者のそれになっていた。
《どんなって…一瞬だけだったからなあ》
「何でもいいんです。髪の色、髪の長さ、服装、背丈など……」
食い下がるフォマルハウトに、やや押され気味のアルコル。記者の彼の表情は目がらんらんと輝き、口角が異様につり上がっている。まるでこの状況を楽しんでいるようだが、特ダネを見つけた時の記者はこうなるのだろう。カペラは「いつものハウトと違う」と多少驚いて……というより引いている。
やがて、「見たのは夕刻だった」ということを聞きだした。服装はこげ茶色の毛皮のようなもので、帽子をかぶっていたから髪型や色は分からないという。
「今が夏だから、半年前ということは冬だ。こげ茶色の毛皮は熊のものだろうな」
フォマルハウトが独り言のようにつぶやきながら、帳面に書き留めていく。
「でも、これだけじゃ手がかりにはならないわね」
カペラが残念そうにつぶやくが、フォマルハウトは「いや…」と首を振った。彼にすれば十分手がかりを得られるという。
まず熊の毛皮はかなり高価で、簡単には手に入らない。買うとしたら上流階級の者だけだ。もしポラリスを売り飛ばす目的だとしたら、金には困っていないはずなので矛盾が生じる。おそらく、物盗りというより別の目的があるに違いない。
「その時、雪は積もっていましたか?」
《いや、積もってもいないし降ってもいなかったよ。あの日は、春に近づく時期だったからだいぶ暖かくなっていたなあ》
アルコルも徐々に思い出してきた。すると、フォマルハウトが断言した。
「おそらく、犯人は東の都か中つ都の人間だ」
「え、何で分かるの?」
「そんな暖かい日に毛皮を着るなんて、寒さに慣れている北の町の住人はしないだろう。星の大地の南側の出身だよ」
さらに、毛皮を買える人間は、貧しい西の村や地場産業しかない蟹の目町には住んでいない。東の都や中つ都の裕福層――役場の上層部やエリート、会社の役員クラスでなければ難しいだろう。しかし、彼らは高価な毛皮をわざわざ田舎町に着ていかない。都会ならいざ知らず、田舎では土ぼこりなどで汚れやすいからだ。
あるいは、毛皮を汚してでもポラリスを盗む意味があった…ということか。
「だいぶ絞れてきたな。後は、都に戻ってから半年前の休暇を調べればさらに絞り込める」
東の都から北の町まで来て、ポラリスを奪ってまた戻るという行程を考えると3、4日は必要である。年末年始や夏休みならともかく、冬から春に変わりつつある時期にそんな休みをとる人間は滅多にいない。
必ず尻尾をつかんでやる――フォマルハウトは誓った。
「じゃあ、やっぱり誰かが持ち出したんですね」
フォマルハウトは淡々と言った。が、内心はアルコルと同じように焦っていた。アルコルが見た半年前の怪しい人影と、妖星疫が蔓延した時期がちょうど重なる。ポラリスが盗まれたことが、疫病をもたらしたとみて間違いないだろう。
「ど、どうすればいいの!?」
カペラが慌てふためく。
「どうするって……ポラリスを取り返してここに納め直すしかないだろう」
3人は、元来た道を戻ることにした。
「アルコル、その怪しい人影はどんなものだったんです?」
フォマルハウトが武曲の祠の近くにあった庵で、アルコルに聞き取りをすることにした。帳面と炭の筆を持つ顔つきは、いつもの記者のそれになっていた。
《どんなって…一瞬だけだったからなあ》
「何でもいいんです。髪の色、髪の長さ、服装、背丈など……」
食い下がるフォマルハウトに、やや押され気味のアルコル。記者の彼の表情は目がらんらんと輝き、口角が異様につり上がっている。まるでこの状況を楽しんでいるようだが、特ダネを見つけた時の記者はこうなるのだろう。カペラは「いつものハウトと違う」と多少驚いて……というより引いている。
やがて、「見たのは夕刻だった」ということを聞きだした。服装はこげ茶色の毛皮のようなもので、帽子をかぶっていたから髪型や色は分からないという。
「今が夏だから、半年前ということは冬だ。こげ茶色の毛皮は熊のものだろうな」
フォマルハウトが独り言のようにつぶやきながら、帳面に書き留めていく。
「でも、これだけじゃ手がかりにはならないわね」
カペラが残念そうにつぶやくが、フォマルハウトは「いや…」と首を振った。彼にすれば十分手がかりを得られるという。
まず熊の毛皮はかなり高価で、簡単には手に入らない。買うとしたら上流階級の者だけだ。もしポラリスを売り飛ばす目的だとしたら、金には困っていないはずなので矛盾が生じる。おそらく、物盗りというより別の目的があるに違いない。
「その時、雪は積もっていましたか?」
《いや、積もってもいないし降ってもいなかったよ。あの日は、春に近づく時期だったからだいぶ暖かくなっていたなあ》
アルコルも徐々に思い出してきた。すると、フォマルハウトが断言した。
「おそらく、犯人は東の都か中つ都の人間だ」
「え、何で分かるの?」
「そんな暖かい日に毛皮を着るなんて、寒さに慣れている北の町の住人はしないだろう。星の大地の南側の出身だよ」
さらに、毛皮を買える人間は、貧しい西の村や地場産業しかない蟹の目町には住んでいない。東の都や中つ都の裕福層――役場の上層部やエリート、会社の役員クラスでなければ難しいだろう。しかし、彼らは高価な毛皮をわざわざ田舎町に着ていかない。都会ならいざ知らず、田舎では土ぼこりなどで汚れやすいからだ。
あるいは、毛皮を汚してでもポラリスを盗む意味があった…ということか。
「だいぶ絞れてきたな。後は、都に戻ってから半年前の休暇を調べればさらに絞り込める」
東の都から北の町まで来て、ポラリスを奪ってまた戻るという行程を考えると3、4日は必要である。年末年始や夏休みならともかく、冬から春に変わりつつある時期にそんな休みをとる人間は滅多にいない。
必ず尻尾をつかんでやる――フォマルハウトは誓った。