Star Shurine Gardian ―星の大地にある秘宝の守護者―
爆弾テロ
「な、何だ、どうした!?」
突然の轟音に驚き、フォマルハウトは城の窓から外を見た。すると、南の方角から黒煙があがっている。火事か、それとも――!?
フォマルハウトは「陛下、失礼いたします!」と謁見の間を出て行った。そして帳面と筆を取り、一目散に現場に急行した。
現場はひどい惨状だった。家屋が四、五軒崩れ落ちていて、流血している者もいる。既に、何十人もの警備兵やレスキュー担当の役人が、救助活動にあたっている。その中には、看護チームの一員として派遣されたカペラもいた。
フォマルハウトはカペラに駆け寄る。
「一体何があったんだ!?」
「よく分からないけど……爆弾みたいよ」
カペラは、腕を負傷した者に包帯を巻きながら答える。
「爆弾だと!?」
フォマルハウトは耳を疑った。星の大地では現実世界の現代ほど科学技術が高度に発達していない。爆弾という代物は、フォマルハウトの時代、都の役人の上層部が研究を重ね、最近やっと開発されたものである。フォマルハウト自身、1年前にその報道記事を書いたことがあり、技術がここまで来たかと驚いたのを覚えている。
その最新鋭の技術が、町中で使われただと!? それも、何の罪もない人々を巻き込む形で……。フォマルハウトはカペラのそばを離れ、近くにいた警備兵に詰め寄る。
「爆弾が爆発したんだって? どこで、どうやって!?」
するとその警備兵は顔をしかめる。
「知るか、現場に急行したらこの有り様だ。あんた文官だろうが、邪魔だからあっちいってくれ!!」
とりつく島もなかった。やむなく、フォマルハウトは別の武官を捕まえて同じ質問をした。
「ああ、あそこの家屋に置いてあった小包が突然爆発したらしいぜ。やられた人たちは恨みを持つような感じじゃない。おそらく無差別の犯行だ」
先ほどの武官とは違い、丁寧に答えてくれた。顔立ちが凜々しく、知恵も働く男のようだ。が、顔は凶行への怒りに満ちている。
この犯行は、言うなれば無差別テロだろう。その武官が言うには、小包は幼児の両手でも持てるような大きさだったらしい。この時代、爆弾が開発されたばかりで、その大きさはバスケットボールほどの大きさである。それを、幼児が持てるサイズに小型化しているというのだ。
「犯人は爆弾にだいぶ精通しているようだな。このままにしていてはまずい」
フォマルハウトがつぶやくと、その武官は突然口調が変わった。
「当然だぜ、犯人の野郎、とっ捕まえてボコボコにしてやらあ!」
自分の両手の拳をガンッ、とぶつけて気合いを入れる。頭の良さと血の気の多さを同居させた男のようだ。
フォマルハウトは彼に「名前は?」とたずねた。
「俺はルクバト。この事件の指揮にあたることになったのさ」
しばらくすると、再びドンッという爆発音が起こった。
「またか!!」
その場にいた者たちが音の方に振り向くと、黒煙が昇っている。フォマルハウトとルクバトは、すぐさま現場に急行した。
到着するとまたもや大惨事だった。いや、えぐれた地面や被害者の数を見ると、先ほどより大きな爆発だったようだ。
「大丈夫か!?」
ルクバトが駈け寄り、けが人を起こす。フォマルハウトは辺りをきょろきょろした。すでに医者や看護師もやってきている。カペラも少し遅れてから来た。
「同時多発テロか…」
「くそっ、犯人の野郎!!」
ルクバトが吐き捨てた時、誰かが「ちょっと、あれ見て!!」とある家の屋根を指さした。その方を振り向くと、数人の人影がある。その中心にいたのは――かつての盟友・アンタレスと、自分の妻・シャウラだった。
フォマルハウトは戦慄を覚えた。一体、どういうことだ!?
突然の轟音に驚き、フォマルハウトは城の窓から外を見た。すると、南の方角から黒煙があがっている。火事か、それとも――!?
フォマルハウトは「陛下、失礼いたします!」と謁見の間を出て行った。そして帳面と筆を取り、一目散に現場に急行した。
現場はひどい惨状だった。家屋が四、五軒崩れ落ちていて、流血している者もいる。既に、何十人もの警備兵やレスキュー担当の役人が、救助活動にあたっている。その中には、看護チームの一員として派遣されたカペラもいた。
フォマルハウトはカペラに駆け寄る。
「一体何があったんだ!?」
「よく分からないけど……爆弾みたいよ」
カペラは、腕を負傷した者に包帯を巻きながら答える。
「爆弾だと!?」
フォマルハウトは耳を疑った。星の大地では現実世界の現代ほど科学技術が高度に発達していない。爆弾という代物は、フォマルハウトの時代、都の役人の上層部が研究を重ね、最近やっと開発されたものである。フォマルハウト自身、1年前にその報道記事を書いたことがあり、技術がここまで来たかと驚いたのを覚えている。
その最新鋭の技術が、町中で使われただと!? それも、何の罪もない人々を巻き込む形で……。フォマルハウトはカペラのそばを離れ、近くにいた警備兵に詰め寄る。
「爆弾が爆発したんだって? どこで、どうやって!?」
するとその警備兵は顔をしかめる。
「知るか、現場に急行したらこの有り様だ。あんた文官だろうが、邪魔だからあっちいってくれ!!」
とりつく島もなかった。やむなく、フォマルハウトは別の武官を捕まえて同じ質問をした。
「ああ、あそこの家屋に置いてあった小包が突然爆発したらしいぜ。やられた人たちは恨みを持つような感じじゃない。おそらく無差別の犯行だ」
先ほどの武官とは違い、丁寧に答えてくれた。顔立ちが凜々しく、知恵も働く男のようだ。が、顔は凶行への怒りに満ちている。
この犯行は、言うなれば無差別テロだろう。その武官が言うには、小包は幼児の両手でも持てるような大きさだったらしい。この時代、爆弾が開発されたばかりで、その大きさはバスケットボールほどの大きさである。それを、幼児が持てるサイズに小型化しているというのだ。
「犯人は爆弾にだいぶ精通しているようだな。このままにしていてはまずい」
フォマルハウトがつぶやくと、その武官は突然口調が変わった。
「当然だぜ、犯人の野郎、とっ捕まえてボコボコにしてやらあ!」
自分の両手の拳をガンッ、とぶつけて気合いを入れる。頭の良さと血の気の多さを同居させた男のようだ。
フォマルハウトは彼に「名前は?」とたずねた。
「俺はルクバト。この事件の指揮にあたることになったのさ」
しばらくすると、再びドンッという爆発音が起こった。
「またか!!」
その場にいた者たちが音の方に振り向くと、黒煙が昇っている。フォマルハウトとルクバトは、すぐさま現場に急行した。
到着するとまたもや大惨事だった。いや、えぐれた地面や被害者の数を見ると、先ほどより大きな爆発だったようだ。
「大丈夫か!?」
ルクバトが駈け寄り、けが人を起こす。フォマルハウトは辺りをきょろきょろした。すでに医者や看護師もやってきている。カペラも少し遅れてから来た。
「同時多発テロか…」
「くそっ、犯人の野郎!!」
ルクバトが吐き捨てた時、誰かが「ちょっと、あれ見て!!」とある家の屋根を指さした。その方を振り向くと、数人の人影がある。その中心にいたのは――かつての盟友・アンタレスと、自分の妻・シャウラだった。
フォマルハウトは戦慄を覚えた。一体、どういうことだ!?