Star Shurine Gardian ―星の大地にある秘宝の守護者―
眠る七星剣
「カ、カペラ!?」
「私はまだあきらめていないからね、ハウト」
そういうと、カペラは強引にキスしてきた。さらには、体を密着させてくる。
「――っ!!」
いけないことだって分かっている。なのに、体が拒絶できない……。
「っは!!」
どうにか理性を取り戻すフォマルハウト。
「と、とにかくもう寝よう。明日も大変だから…」
「そうね…」
カペラは急に恥ずかしくなったのか、しおらしくゴロンと寝転んだ。ただし、フォマルハウトの布団の中で――。
翌朝。朝食を用意してミアプラに食べさせ、慌ただしく出勤する。カペラも手伝ってくれたからまだ何とかなったが、1人では遅刻していただろう。ミアプラを抱え、小走りに城に向かう。
「それにしてもカペラ、君は子供の扱いがうまいんだな」
起きた時、すぐにおむつを変えて服を着せてくれた。その間に朝食をスムーズに作れたのだ。シャウラだったらまだ寝ていて、フォマルハウトが全てしなければならないところである。
「看護師のほかに助産師もできるからね。一応、保育士や介護士の資格もあるし」
看護の分野のエキスパートなのだな。
「ハウトこそ料理上手だね。おいしかったよ」
はにかみながら言ってくるカペラ。あーあ、本当にこの人と夫婦だったらなあ……。とりあえずミアプラを託児所に預け、今日の仕事にとりかかった。
記者であるフォマルハウトは、上司である主筆(デスク)に挨拶をした後、外に出てネタを探し始める。何か事件や事故があったらすぐに急行し、取材して文章をまとめ、帰ったら記事を印刷に回す。学舎を卒業して6年やってきているので、もう手慣れたものだ。
フォマルハウトは、大市場付近でルクバトを見つけた。
「ルクバト!」
「ネタ探しか、フォマルハウト」
「今日はあんたにひっついているよ。きっと、ネタが拾えるだろうからな」
「お前さんの仕事熱心ぶりは尊敬するぜ」
ルクバトはふと、フォマルハウトの腰にささっているものを見た。
「それが七星剣か」
「ああ、昨日は事務所に忘れてしまったからな」
そうそう、と言いながらフォマルハウトは七星剣をルクバトに放り投げる。キャッチしながら、「おいおい、なんだよ」と慌てるルクバト。
「あんたが持っていてくれ。もしかしたら役に立つかもしれないし」
もともと、フォマルハウトは文官である。荒事が苦手なので、本来ならば紫微垣の使命も荷が重いと感じているのだ。あわよくば、紫微垣を変わってもらおうと思っている。
「おい、これどうやって使うんだ?」
ルクバトが七星剣を上に掲げる。が、特に剣は反応しない。
「どうって、その剣がいろいろ変形して……」と言いながら、フォマルハウトは剣の星鏡を見てハッとした。赤紫色だったはずなのに、今は銀色なのである。ツヤのある光沢も消え失せ、眠っているようだった。
ルクバトはまじまじと七星剣を見ていたが、フォマルハウトに手渡して返した。
「俺には斗宿の弓があるからいいさ」
七星剣がフォマルハウトの手にわたると、星鏡が赤紫色に変わった。
「どうやら、この剣はお前さんがいいみたいだぜ」
選ばれた者しか使えないのか……あの時、アルコルの声が聞こえたということが、自分がまさに紫微垣となる使命を持っていることになるのだろうか? ルクバトと並んで歩きながら考えた。
「…意外にネタないんだな」
フォマルハウトはおにぎりをほおばりながら不満げに言った。午前中、ルクバトにひっついていたが、特に事件や事故に遭遇しない。武官の中でも精鋭に入るこの男にぶら下がっていれば、特ダネに合えると思ったのに――。
「あのな、警備兵だって毎日事件や事故を見るわけじゃねえんだよ」
そもそもメシを食いながら仕事するって、緊張感がないのか? とルクバトは呆れている。
「ん? ちゃんと食べないといざっていう時に力を出せないぞ。記者は体力勝負だ」
フォマルハウト曰く、いつものような生活スタイルこそが仕事で成果を出す鍵とのことだ。「あんたも何か食べなよ」と勧めた瞬間、
ドオンッ
という爆発音が響いた。
「私はまだあきらめていないからね、ハウト」
そういうと、カペラは強引にキスしてきた。さらには、体を密着させてくる。
「――っ!!」
いけないことだって分かっている。なのに、体が拒絶できない……。
「っは!!」
どうにか理性を取り戻すフォマルハウト。
「と、とにかくもう寝よう。明日も大変だから…」
「そうね…」
カペラは急に恥ずかしくなったのか、しおらしくゴロンと寝転んだ。ただし、フォマルハウトの布団の中で――。
翌朝。朝食を用意してミアプラに食べさせ、慌ただしく出勤する。カペラも手伝ってくれたからまだ何とかなったが、1人では遅刻していただろう。ミアプラを抱え、小走りに城に向かう。
「それにしてもカペラ、君は子供の扱いがうまいんだな」
起きた時、すぐにおむつを変えて服を着せてくれた。その間に朝食をスムーズに作れたのだ。シャウラだったらまだ寝ていて、フォマルハウトが全てしなければならないところである。
「看護師のほかに助産師もできるからね。一応、保育士や介護士の資格もあるし」
看護の分野のエキスパートなのだな。
「ハウトこそ料理上手だね。おいしかったよ」
はにかみながら言ってくるカペラ。あーあ、本当にこの人と夫婦だったらなあ……。とりあえずミアプラを託児所に預け、今日の仕事にとりかかった。
記者であるフォマルハウトは、上司である主筆(デスク)に挨拶をした後、外に出てネタを探し始める。何か事件や事故があったらすぐに急行し、取材して文章をまとめ、帰ったら記事を印刷に回す。学舎を卒業して6年やってきているので、もう手慣れたものだ。
フォマルハウトは、大市場付近でルクバトを見つけた。
「ルクバト!」
「ネタ探しか、フォマルハウト」
「今日はあんたにひっついているよ。きっと、ネタが拾えるだろうからな」
「お前さんの仕事熱心ぶりは尊敬するぜ」
ルクバトはふと、フォマルハウトの腰にささっているものを見た。
「それが七星剣か」
「ああ、昨日は事務所に忘れてしまったからな」
そうそう、と言いながらフォマルハウトは七星剣をルクバトに放り投げる。キャッチしながら、「おいおい、なんだよ」と慌てるルクバト。
「あんたが持っていてくれ。もしかしたら役に立つかもしれないし」
もともと、フォマルハウトは文官である。荒事が苦手なので、本来ならば紫微垣の使命も荷が重いと感じているのだ。あわよくば、紫微垣を変わってもらおうと思っている。
「おい、これどうやって使うんだ?」
ルクバトが七星剣を上に掲げる。が、特に剣は反応しない。
「どうって、その剣がいろいろ変形して……」と言いながら、フォマルハウトは剣の星鏡を見てハッとした。赤紫色だったはずなのに、今は銀色なのである。ツヤのある光沢も消え失せ、眠っているようだった。
ルクバトはまじまじと七星剣を見ていたが、フォマルハウトに手渡して返した。
「俺には斗宿の弓があるからいいさ」
七星剣がフォマルハウトの手にわたると、星鏡が赤紫色に変わった。
「どうやら、この剣はお前さんがいいみたいだぜ」
選ばれた者しか使えないのか……あの時、アルコルの声が聞こえたということが、自分がまさに紫微垣となる使命を持っていることになるのだろうか? ルクバトと並んで歩きながら考えた。
「…意外にネタないんだな」
フォマルハウトはおにぎりをほおばりながら不満げに言った。午前中、ルクバトにひっついていたが、特に事件や事故に遭遇しない。武官の中でも精鋭に入るこの男にぶら下がっていれば、特ダネに合えると思ったのに――。
「あのな、警備兵だって毎日事件や事故を見るわけじゃねえんだよ」
そもそもメシを食いながら仕事するって、緊張感がないのか? とルクバトは呆れている。
「ん? ちゃんと食べないといざっていう時に力を出せないぞ。記者は体力勝負だ」
フォマルハウト曰く、いつものような生活スタイルこそが仕事で成果を出す鍵とのことだ。「あんたも何か食べなよ」と勧めた瞬間、
ドオンッ
という爆発音が響いた。