Star Shurine Gardian ―星の大地にある秘宝の守護者―
赤星党の刺客
「なんだ、また爆弾か!?」
ルクバトとフォマルハウトが顔を空に向ける。煙が、そう遠くないところから立ち上っているのが分かった。
「大市場のどこかで爆発したな。赤星党め……!」
ルクバトがはぎしりする。一方、フォマルハウトはシャウラだったらどうするかを考えていた。
――紫微垣であれば、シャウラだったとしても撃退しなければならない。
しかし、考えていても埒が開かない。2人は現場に向かって駆けだした。
現場にいたのは逃げ惑う人々と、その渦中にいた大男だった。両手に爆弾を持ち、派手にあちらこちらに投げつけている。その爆弾が爆発するたび、大市場の店が吹っ飛んだ。
「……なんだ、あいつ?」
フォマルハウトは呆然とした。赤星党はテロ集団のはずだから内密に行動するのだと思っていたが――。そのフォマルハウトの表情を読み取ってか、ルクバトがつぶやく。
「何か別の狙いがあるのかもしれねえな。どっちにしろこのままにしておけん」
ルクバトは弓を構えて右手で闘気を練り上げる。5秒くらいたった時、弦につがえて引き絞り、ひょうっと放った。光の矢は大男めがけて飛んでいく。
「けっ!!」
大男は、左腕一本で光の矢をはじき飛ばした。
「ふん、少しはできるようだな」
ルクバトは大男と対峙する。
「俺は栄えある赤星党の党員、アクラブ。同志アンタレスの指令により、この市場を制圧する」
そう言うと、大男のアクラブは2人に向かって突進してきた。大きな拳から繰り出されるストレートをルクバトとフォマルハウトはかわす。が、フォマルハウトは着地した瞬間、「グキッ」と足をくじいた。
「いてっ!!」
「おい、何やってんだよ!!」
ルクバトの声よりアクラブの第二撃の方が早い。しかし、フォマルハウトは落ち着きはらって七星剣を構える。
「秘剣・文綾の星!」
空気の渦がアクラブの拳を遮った。さらに七星剣を構える。
「秘剣・魚釣り星!」
紫微垣の秘剣で最も基本の技であり、かつ汎用性の高いものだ。が、フォマルハウトの魚釣り星は、アクラブの太い腕にあっさりとはじかれてしまった。
(くっ、やはり僕では腕力が……)
神もアルコルも、どうせならルクバトのような戦士を選んでくれたらよかったのに……と思いながら、次々に来る攻撃をかわす。さらに、アクラブは懐から小さな包みを取り出して投げつけてきた。
「?」
フォマルハウトがぽかんと見ていると、ルクバトが「おい、伏せろ!!」と叫んだ。伏せた次の瞬間、包みが爆発した。
「フォマルハウト、ボケッとするな! 戦いの場なんだぜ!!」
ルクバトの檄が飛ぶ。そうは言ってもなあ…と、フォマルハウトはどことなく他人事の気分だ。もちろん都の治安を乱す行為は許せないが、もともと文官なので戦うよりその場面を取材することに意識が向く。現に今も、アクラブの一連の攻撃をメモに書き留めているのだ。
(この戦いを生き延びたらスクープ記事ができるな)
ここで死んだらスクープも何もないもんだ。フォマルハウトは相手の攻撃をかわしながら、何とか間合いをとった。
「フォマルハウト、その七星剣で何とかできねえのか!?」
ルクバトがにらむ。紫微垣になりたてだが、フォマルハウトの技をあてにしたくなる気持ちがある。だが、続けて繰り出した螺旋昴や三連突きもはじかれた。おまけにルクバトの斗宿の矢もはじかれている。
どうするか――。ふと、フォマルハウトの脳裏にアイデアが浮かんだ。ルクバトに近寄って耳打ちする。
「お前、それ本当に大丈夫なんだよな?」
「ああ、それが一番効くだろう」
作戦が決まると、フォマルハウトは七星剣を構えて錨状に変形させた。
「秘剣・錨星!!」
追加で覚えた秘剣の一つだ。アンカーとなった穂先がアクラブめがけて飛んでいく。
「ふん! 何かと思ったら鎖か!! はじき返してくれる!!」
が、フォマルハウトは穂先を巧みに操り、大男の両腕を拘束するように体に巻き付けた。
「なっ!!」
身動きがとれなくなったこの瞬間を、ルクバトは見逃さなかった。闘気をためた右手の矢を、弓につがえて放った。狙うは――顔だ!
「うわあああ!!」
光の矢は見事、アクラブの顔面に命中。さすがにここは鍛えようもないだろう。大男の体はそのまま仰向けに倒れ込んだ。
ルクバトとフォマルハウトが顔を空に向ける。煙が、そう遠くないところから立ち上っているのが分かった。
「大市場のどこかで爆発したな。赤星党め……!」
ルクバトがはぎしりする。一方、フォマルハウトはシャウラだったらどうするかを考えていた。
――紫微垣であれば、シャウラだったとしても撃退しなければならない。
しかし、考えていても埒が開かない。2人は現場に向かって駆けだした。
現場にいたのは逃げ惑う人々と、その渦中にいた大男だった。両手に爆弾を持ち、派手にあちらこちらに投げつけている。その爆弾が爆発するたび、大市場の店が吹っ飛んだ。
「……なんだ、あいつ?」
フォマルハウトは呆然とした。赤星党はテロ集団のはずだから内密に行動するのだと思っていたが――。そのフォマルハウトの表情を読み取ってか、ルクバトがつぶやく。
「何か別の狙いがあるのかもしれねえな。どっちにしろこのままにしておけん」
ルクバトは弓を構えて右手で闘気を練り上げる。5秒くらいたった時、弦につがえて引き絞り、ひょうっと放った。光の矢は大男めがけて飛んでいく。
「けっ!!」
大男は、左腕一本で光の矢をはじき飛ばした。
「ふん、少しはできるようだな」
ルクバトは大男と対峙する。
「俺は栄えある赤星党の党員、アクラブ。同志アンタレスの指令により、この市場を制圧する」
そう言うと、大男のアクラブは2人に向かって突進してきた。大きな拳から繰り出されるストレートをルクバトとフォマルハウトはかわす。が、フォマルハウトは着地した瞬間、「グキッ」と足をくじいた。
「いてっ!!」
「おい、何やってんだよ!!」
ルクバトの声よりアクラブの第二撃の方が早い。しかし、フォマルハウトは落ち着きはらって七星剣を構える。
「秘剣・文綾の星!」
空気の渦がアクラブの拳を遮った。さらに七星剣を構える。
「秘剣・魚釣り星!」
紫微垣の秘剣で最も基本の技であり、かつ汎用性の高いものだ。が、フォマルハウトの魚釣り星は、アクラブの太い腕にあっさりとはじかれてしまった。
(くっ、やはり僕では腕力が……)
神もアルコルも、どうせならルクバトのような戦士を選んでくれたらよかったのに……と思いながら、次々に来る攻撃をかわす。さらに、アクラブは懐から小さな包みを取り出して投げつけてきた。
「?」
フォマルハウトがぽかんと見ていると、ルクバトが「おい、伏せろ!!」と叫んだ。伏せた次の瞬間、包みが爆発した。
「フォマルハウト、ボケッとするな! 戦いの場なんだぜ!!」
ルクバトの檄が飛ぶ。そうは言ってもなあ…と、フォマルハウトはどことなく他人事の気分だ。もちろん都の治安を乱す行為は許せないが、もともと文官なので戦うよりその場面を取材することに意識が向く。現に今も、アクラブの一連の攻撃をメモに書き留めているのだ。
(この戦いを生き延びたらスクープ記事ができるな)
ここで死んだらスクープも何もないもんだ。フォマルハウトは相手の攻撃をかわしながら、何とか間合いをとった。
「フォマルハウト、その七星剣で何とかできねえのか!?」
ルクバトがにらむ。紫微垣になりたてだが、フォマルハウトの技をあてにしたくなる気持ちがある。だが、続けて繰り出した螺旋昴や三連突きもはじかれた。おまけにルクバトの斗宿の矢もはじかれている。
どうするか――。ふと、フォマルハウトの脳裏にアイデアが浮かんだ。ルクバトに近寄って耳打ちする。
「お前、それ本当に大丈夫なんだよな?」
「ああ、それが一番効くだろう」
作戦が決まると、フォマルハウトは七星剣を構えて錨状に変形させた。
「秘剣・錨星!!」
追加で覚えた秘剣の一つだ。アンカーとなった穂先がアクラブめがけて飛んでいく。
「ふん! 何かと思ったら鎖か!! はじき返してくれる!!」
が、フォマルハウトは穂先を巧みに操り、大男の両腕を拘束するように体に巻き付けた。
「なっ!!」
身動きがとれなくなったこの瞬間を、ルクバトは見逃さなかった。闘気をためた右手の矢を、弓につがえて放った。狙うは――顔だ!
「うわあああ!!」
光の矢は見事、アクラブの顔面に命中。さすがにここは鍛えようもないだろう。大男の体はそのまま仰向けに倒れ込んだ。