Star Shurine Gardian ―星の大地にある秘宝の守護者―
三代目紫微垣・カノープス
3人は、封書の裏にあった住所に来てみた。そこは、スピカの家からそう遠くない茶屋だった。
「あれ? ここって…」
「私とミラが初めて会った時、お茶を飲んだお店ね」
兼貞の祠がある茶屋だ。ここにカノープスがいるのか?
「ごめんください」
「はーい」
中からおばあさんと若い女性が出てきた。
「いらっしゃいませ。何にしましょう?」
「あ、あの…」
ミラがカノープスのことを聞こうとしたら
「紅茶とおまんじゅうを三つずつください」
スピカが口を挟む。すると女性は「はいはい」と、奥に入っていった。
(先輩?)
(こういうときは、まず何か注文した方が聞きやすいわ)
とりあえず運ばれてきた紅茶とまんじゅうをほおばる。
「おいしいですね」
「ありがとうございます」
店の女性が笑顔を見せたところで、スピカがすかさず聞いた。
「ところで…こちらにカノープスさんっていらっしゃいます?」
女性の顔が、笑顔のまま一瞬こわばった。
「どちらでそのことを?」
「先日亡くなったアルクトゥルスさんの日記などからです」
スピカはシリウスの腕をつかんで、ぐいっと引っ張った。
「彼、アルクトゥルスさんに師事していました。五代目の紫微垣になるために……」
すると女性は最初と同じ柔和な笑顔で言った。
「ご案内しましょう。三代目紫微垣・カノープスのもとに」
店の奥に通されてしばらく待つと、先ほどの女性に支えられて1人の老人がやってきた。身長は1メートルあるくらい。杖をつき、よたよたと歩いている。髪の毛は薄くなっていて、一目でかなりの老齢であることが分かる。しかし、その顔はにこにこ笑っていて好々爺という感じだ。
「君たちかね。わしに会いたいというのは」
これが三代目紫微垣・カノープスか……。シリウスは多少緊張した面持ちになった。自分を指導してくれたアルクトゥルスの師匠にあたる人物だ。
「はい、お時間を頂戴し、ありがとうございます」
スピカが丁寧に答えた。
「さて、何からお話しすればよいかのう?」
相変わらずにこにこしている。何から聞けばいいのか――? 紫微垣のこと、七星剣の作り方、八の秘剣・北落師門。それとも魔剣・コラプサーやアルタイルのこと。聞きたいことは山ほどあるけど、何から聞けば……。
「おじいちゃんは150歳だと思うんですけど、長生きの秘訣は?」
ミラが口火を切った。そこから!? という表情のシリウスとスピカ。
「ほっほっほ。わしは南極寿星の秘術を使い、命を生きながらえておる」
南極寿星の秘術? 3人とも初めて聞く術だ。ちなみに南極寿星とは、りゅうこつ座の一等星の中国名である。
曰く、自分の心臓の鼓動を遅らせて寿命を延ばす秘術らしい。と言っても、せいぜい2倍ほどということだ。つまり、80歳まで生きられる人は160歳まで延ばせる。
「そんなことだから、わしの妻も子供も先に逝ってしもうた。さみしいものじゃ。今いる家族は孫、ひ孫じゃよ」
先ほどの女性もその中の1人なのか。
「でも、なぜそんな秘術を?」
スピカがたたみかける。そんな悲しみを背負ってまで、なぜ自らを延命したのか?
「確実に継承するためじゃよ」
カノープスは、紫微垣の歴史から語り始めた。
「あれ? ここって…」
「私とミラが初めて会った時、お茶を飲んだお店ね」
兼貞の祠がある茶屋だ。ここにカノープスがいるのか?
「ごめんください」
「はーい」
中からおばあさんと若い女性が出てきた。
「いらっしゃいませ。何にしましょう?」
「あ、あの…」
ミラがカノープスのことを聞こうとしたら
「紅茶とおまんじゅうを三つずつください」
スピカが口を挟む。すると女性は「はいはい」と、奥に入っていった。
(先輩?)
(こういうときは、まず何か注文した方が聞きやすいわ)
とりあえず運ばれてきた紅茶とまんじゅうをほおばる。
「おいしいですね」
「ありがとうございます」
店の女性が笑顔を見せたところで、スピカがすかさず聞いた。
「ところで…こちらにカノープスさんっていらっしゃいます?」
女性の顔が、笑顔のまま一瞬こわばった。
「どちらでそのことを?」
「先日亡くなったアルクトゥルスさんの日記などからです」
スピカはシリウスの腕をつかんで、ぐいっと引っ張った。
「彼、アルクトゥルスさんに師事していました。五代目の紫微垣になるために……」
すると女性は最初と同じ柔和な笑顔で言った。
「ご案内しましょう。三代目紫微垣・カノープスのもとに」
店の奥に通されてしばらく待つと、先ほどの女性に支えられて1人の老人がやってきた。身長は1メートルあるくらい。杖をつき、よたよたと歩いている。髪の毛は薄くなっていて、一目でかなりの老齢であることが分かる。しかし、その顔はにこにこ笑っていて好々爺という感じだ。
「君たちかね。わしに会いたいというのは」
これが三代目紫微垣・カノープスか……。シリウスは多少緊張した面持ちになった。自分を指導してくれたアルクトゥルスの師匠にあたる人物だ。
「はい、お時間を頂戴し、ありがとうございます」
スピカが丁寧に答えた。
「さて、何からお話しすればよいかのう?」
相変わらずにこにこしている。何から聞けばいいのか――? 紫微垣のこと、七星剣の作り方、八の秘剣・北落師門。それとも魔剣・コラプサーやアルタイルのこと。聞きたいことは山ほどあるけど、何から聞けば……。
「おじいちゃんは150歳だと思うんですけど、長生きの秘訣は?」
ミラが口火を切った。そこから!? という表情のシリウスとスピカ。
「ほっほっほ。わしは南極寿星の秘術を使い、命を生きながらえておる」
南極寿星の秘術? 3人とも初めて聞く術だ。ちなみに南極寿星とは、りゅうこつ座の一等星の中国名である。
曰く、自分の心臓の鼓動を遅らせて寿命を延ばす秘術らしい。と言っても、せいぜい2倍ほどということだ。つまり、80歳まで生きられる人は160歳まで延ばせる。
「そんなことだから、わしの妻も子供も先に逝ってしもうた。さみしいものじゃ。今いる家族は孫、ひ孫じゃよ」
先ほどの女性もその中の1人なのか。
「でも、なぜそんな秘術を?」
スピカがたたみかける。そんな悲しみを背負ってまで、なぜ自らを延命したのか?
「確実に継承するためじゃよ」
カノープスは、紫微垣の歴史から語り始めた。