Star Shurine Gardian ―星の大地にある秘宝の守護者―
紫微垣の試練②――巨門(こもん)の祠
巨門の祠がある海沿いに来た。祠は高台にあり、階段を降りると港と砂浜がある。この祠は、漁業や航行の安全を守るという役割がある。港には、南の島と行き交う連絡船や漁船が何隻もある。その東側に砂浜があり、夏になると海水浴の客でにぎわうのだ。
シリウスたち3人は、祠から海を見下ろしながら階段を降りる。潮の香り、魚の臭いが鼻を付いてくる。人によって好悪が分かれるが、シリウスはこの匂いが好きだった。
「さて、次はどんなのが出てくるか……」
その相手はすぐに分かった。沖の方から、赤い何かが近づいてきているのが見えたのだ。目を凝らしてみると、海を割るような背びれが見える。
「鮫かシャチの類いか」
シリウスは階段から飛び降り、砂浜に駆け出す。赤い何かはどんどん近づいてくる。その正体は巨大な鮫だった。
「気をつけて、シリウス」
スピカが声を掛ける。
「ああ」
七星剣を構えた。
「一の秘剣・魚釣り星!」
剣をしならせて鮫に当てようとした。が、届かない。
「ちっ、間合いの外か。お互いに手が出せないな……」
長期戦かと思った矢先、鮫が口から牙を飛ばしてきた。
「うわっ!!」
かわしたが、流れ弾となった牙は背後にあった岩に「ドゴッ」とめり込んだ。
「ま、まじ……?」
ミラが唖然とする。あんなものが当たったら致命傷になる。
するとシリウスが海に向かって走り出した。
「ちょ、どうしたの!?」
ミラが叫ぶが、スピカが冷静に言った。
「間合いを詰めて勝負を決めるのよ」
飛んでくる牙をかわしていく。が、海水に足が浸かると足を取られる形となり、うまく動けない。
動きが鈍ったところに、また牙が飛んできた。
「シリウス!!」
「五の秘剣・錨星!」
七星剣を錨に変え、鮫の尾びれに巻き付ける。直後、横に飛んで牙をかわし、円形に半回転して鮫の背後に回った。
「二の秘剣・螺旋昴!」
通常は真上に竜巻状に剣を巻き上げるが、シリウスは体勢を横にして鮫にスクリュー攻撃を仕掛けた。鮫に直撃すると、その体が光って鏡の玉になった。
「やった! シリウス!」
ミラが歓声を上げる。が、まだ終わりではなかった。星鏡が海中に入ってしまったのだ。
「シリウスー! どうやって回収するの?」
海中に潜っていたシリウスは、今度は螺旋昴を横向きに繰り出した。海中から竜巻のように巻き上げられた海水が、浜の方に落ちた。その中にきらりと光るものが……。
「あった!」
ミラが駆け寄って確保する。この試練で、シリウスは秘剣の応用を覚えた。
シリウスが海から上がると、滴っていた海水が蒸発し、一つの塩の塊になった。
「これは……」
「七星剣を作る時に使うのかしら? 巨門の祠も、ご神体が塩だものね」
「そっか、じゃあこれも持っていったらいいのね。何に使うか分からないけど……」
ともあれ、あと五つの試練を乗り越えた時、成長を遂げた候補者は、正真正銘の紫微垣になる――その時が、刻一刻と近づいていた。
シリウスたち3人は、祠から海を見下ろしながら階段を降りる。潮の香り、魚の臭いが鼻を付いてくる。人によって好悪が分かれるが、シリウスはこの匂いが好きだった。
「さて、次はどんなのが出てくるか……」
その相手はすぐに分かった。沖の方から、赤い何かが近づいてきているのが見えたのだ。目を凝らしてみると、海を割るような背びれが見える。
「鮫かシャチの類いか」
シリウスは階段から飛び降り、砂浜に駆け出す。赤い何かはどんどん近づいてくる。その正体は巨大な鮫だった。
「気をつけて、シリウス」
スピカが声を掛ける。
「ああ」
七星剣を構えた。
「一の秘剣・魚釣り星!」
剣をしならせて鮫に当てようとした。が、届かない。
「ちっ、間合いの外か。お互いに手が出せないな……」
長期戦かと思った矢先、鮫が口から牙を飛ばしてきた。
「うわっ!!」
かわしたが、流れ弾となった牙は背後にあった岩に「ドゴッ」とめり込んだ。
「ま、まじ……?」
ミラが唖然とする。あんなものが当たったら致命傷になる。
するとシリウスが海に向かって走り出した。
「ちょ、どうしたの!?」
ミラが叫ぶが、スピカが冷静に言った。
「間合いを詰めて勝負を決めるのよ」
飛んでくる牙をかわしていく。が、海水に足が浸かると足を取られる形となり、うまく動けない。
動きが鈍ったところに、また牙が飛んできた。
「シリウス!!」
「五の秘剣・錨星!」
七星剣を錨に変え、鮫の尾びれに巻き付ける。直後、横に飛んで牙をかわし、円形に半回転して鮫の背後に回った。
「二の秘剣・螺旋昴!」
通常は真上に竜巻状に剣を巻き上げるが、シリウスは体勢を横にして鮫にスクリュー攻撃を仕掛けた。鮫に直撃すると、その体が光って鏡の玉になった。
「やった! シリウス!」
ミラが歓声を上げる。が、まだ終わりではなかった。星鏡が海中に入ってしまったのだ。
「シリウスー! どうやって回収するの?」
海中に潜っていたシリウスは、今度は螺旋昴を横向きに繰り出した。海中から竜巻のように巻き上げられた海水が、浜の方に落ちた。その中にきらりと光るものが……。
「あった!」
ミラが駆け寄って確保する。この試練で、シリウスは秘剣の応用を覚えた。
シリウスが海から上がると、滴っていた海水が蒸発し、一つの塩の塊になった。
「これは……」
「七星剣を作る時に使うのかしら? 巨門の祠も、ご神体が塩だものね」
「そっか、じゃあこれも持っていったらいいのね。何に使うか分からないけど……」
ともあれ、あと五つの試練を乗り越えた時、成長を遂げた候補者は、正真正銘の紫微垣になる――その時が、刻一刻と近づいていた。