蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜

展望台へ行き、購入してきたエナジードリンクを飲むと一息ついた。
はぁ、どうしてこんな噂が…、放っておいてほしいのに。
ベンチに腰掛け項垂れていると、後ろから元凶の結城さんが声をかけてきた。

「悠里ちゃん、どうした？」

「はっ！　接近禁止です！　結城さんとの噂を立てられ困っているところなんですから」

「俺との噂？」

笑いながら彼は隣のベンチに腰掛け一定の距離をとっていた。

「私の休みと結城さんの休みが一緒だったようです。それにグアム行きに乗っていたと」

「あぁ、そうらしいな。あいつがグアムに行くと聞いて彼女が行きたがったんだ。でもまさか日にちが重なっているとはな」

ははっ、と相変わらずの様子で笑い飛ばしてくる。そんな様子に少し苛立ってしまう。

「結城さんがこうして話かけてくるので私と付き合っていると噂されてしまうんです」

「でももうすぐ桐生との関係をオープンにするんだろう？　聞いたよ。おめでとう」

瑛人さんが彼に結婚の話をしたのだろう。昨日の今日でいつ話したのだろうか。そう不思議に思っていると

「今朝あいつの顔があまりに笑顔で驚いたよ。こんな顔でいられたら何かあったと思うに決まっているだろう？　俺が話かけると見たことのない顔で君との結婚の報告をしてくれたよ」

「見たことのない顔？」

「あぁ、あいつは基本的にクールだろう？　可もなく不可もなく喜怒哀楽が少ない。冷静沈着。だからこそこの仕事が向いている。でも今朝のあいつからは幸せオーラが出ていたよ」

それはどういったものだろう。想像がつかないけれど、だからこそ想像するだけでにやけてしまう。