蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
『皆様、当機は後2分で着陸いたします。客室乗務員の指示に従い衝撃に備える姿勢をお取り下さい』

そう伝え、アナウンスを終えるとキャビンの方から「頭を下げて」と幾度となく伝える声が聞こえてきた。

「桐生、滑走路から飛び出さないよう指定位置よりも手前に接地だ。機首は下げずメインギアが接地後も水平に保つんだ」

「はい」

「フラップフルダウン」

「フラップフルダウン」

「大きく減速しないようにプロペラの角度をいつもより緩やかに」

「はい」

「パワーダウン」

「パワーダウン」

お互いに指示を呼応しあう。
メインギアが接地し、機長が操縦桿を操作し宣言通りバランスを保ちながらライン上の経路を辿る。できる限り機首を上げた状態を保っていたが速度低下とともに機首が滑走路に接地する。

轟音が鳴り響き、飛行機が地表を擦り続けているのがわかる。

「止まれ」

松下機長の声に反応するよう減速を続けていた飛行機は滑走路から飛び出すことなく停止した。と同時に待ち構えていた消防車が消火剤をかけてくる。わっと歓声が上がり、無事に着陸できたのだと力が抜けた。

「お疲れ」

機長はいつも通りの様子で声をかけてきた。そんな彼の肝が座った様子に思わず「ナイスランディング」と声にでてしまうと彼は笑って親指を立てていた。
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