蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
「ただいま」

「お帰りなさい」

それ以上の言葉が続かない。でも悠里を腕の中に閉じ込めると彼女の匂いに混じり、料理のにおいもしてきた。そんな普通のことが特別に思え、反対にこの普通が何よりも幸せなのだと感じた。彼女を抱きしめる腕に力が入る。これが現実だともっと感じたい。

「悠里、悠里……」

「瑛人さん」

彼女も俺の背に回す手に力が入る。もどかしいくらい彼女をより近くで感じたくて性急に唇を重ねた。
んん……
彼女の空いた隙間に俺は舌を差し入れると彼女の中を探り、彼女と絡み合う。どれだけこうして絡みあっていても物足りない。もっと彼女を感じたい。

「悠里、いい?」

彼女は頷くと俺の首に腕を回してきた。俺は靴を脱ぐとそのまま彼女を抱き上げ、ベッドルームに進んだ。彼女をそっとベッドに下ろしたと同時に俺は彼女に覆い被さり、彼女の口を塞いだ。そうしながらも着ていたジャケットを脱ぎすて、彼女のブラウスのボタンを外していく。

「悠里、愛してる」

「私も、私も愛してる」

お互いの体温を直接感じ、彼女の中に入り、途方もなく満たされた気持ちなった。こうして彼女のもとに帰ってこれたと改めて実感した。
どれほど訓練をし、備えていても万が一がないわけではない。道を歩いているよりも事故に遭う可能性は果てしなく低い乗り物であっても絶対はない。守るべき人ができたからこそ、恐怖を感じるようになってしまった。いや、彼女のもとに絶対に戻ると言う気持ちもあり俺の胸の中は複雑な感情が渦巻いている。彼女とともに生きていきたいからこそ生き抜いてやると強い気持ちが湧いてくるのも嘘ではない。

「本当によかった。瑛人さんのことを信じてました」

悠里のその言葉に俺は思わず目元が潤んだ。
悠里は空港でどれほど不安に飛行機を見つめていたことだろうか。それでも俺へのメッセージはそんな様子を微塵も感じさせないものだった。そして今のこの言葉に全てが詰まっている。

「これからも必ず悠里のところに戻ってくると約束する」

グスッと鼻を啜る音が聞こえてくる。俺の胸に彼女の涙が伝ってきた。

「うん。必ず待ってる」
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