蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
「乾杯」

主催者が掛け声をかけると周囲にいた人同士でグラスを合わせた。

「よろしくお願いします」

色々なところからそんな声が聞こえてきた。
ひとまずは立食パーティーのような形で歓談のようだ。私たちは様子を見つつ料理に手を伸ばそうとしていると「取りましょうか?」と声をかけてきた男性がいた。小春はその容姿を見て微笑むと「ありがとうございます」と返事をしていた。
きちんとしたスーツの着こなしでネクタイもどことなくセンスがある。何よりも長身であるうことが小春のポイントを掴んだんだと思う。取り分けられた食事を受け取ると小春は早速自己紹介を始めた。一緒にいた男性も交えて4人で会話を始めるが話しているうちに年下であることが判明。小春は年下だけはありえないと常日頃から言っていたので早々にその場から離れた。

「惜しいなぁ。性格は良さそうだったのに」

「そんなに年上に拘らなくてもいいんじゃない?」

「だめ。そこは譲れないの」

小春は意気揚々とそのままグラスを手にして周囲を見回していた。
お互いに結婚相手を見つけるためにきているので積極的な人が多い。話して合わないと思ったらすぐにその場を離れる人も多く真剣さを感じた。こんな場に自分のような真剣に婚活をしにきたわけではない人がいていいのかと申し訳なさを感じてしまう。

「トイレに行ってくるね」

話し込んでいる小春にそっと耳打ちをした。彼女が今話している人とは話が盛り上がっており私がいなくても問題なさそうだ。
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