蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
デッキに上がるとすでに二人きりになって話している人たちもちらほら見られ、この場も気まずいなと思った。でも風が心地よく、また船内にすぐに戻りたいとは思えなかった。私は人の少ないベンチに腰掛けると大きく息を吐き出した。
26歳で婚活はまだ早いと思うのは私だけなのだろうか。
小春に小洒落をしてきてと事前に言われ、珍しくヒールを履いてきたので足が疲れた。ベンチに座り足を伸ばすと、そのまま手を上にあげて伸びをした。

「疲れましたよね?」

気がつくと横には男性が立っていた。どこかで見たことがあるような……と思ったがすぐに思い出せない。彼はスッと私の隣に座ると同じように伸びをした。

「私は急に友人に付き合わされてここにきたので何が何だかわからなくて」

そんなことを話す彼の声はなんだかとても落ち着いた声色で安心感があった。

「私もです。婚活の場だとは知らずに来てしまって。なんだか私には場違いなようです」

「じゃ、お互い同じ境遇ってことですね」

そう言うと微笑む彼に私もようやく力が抜け自然と笑みが溢れた。どこかで見たことがある気がするのだが、ナイトクルージングでデッキにいるためはっきりとは表情が見えない。

「何か飲みませんか?」

そう言うと私の返事をまたずに立ち上がると船内へ入っていった。
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