蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
「どうぞ、これなら口当たりがいいと思うよ」

渡されたグラスにはフルーツが飾られ、女の子らしいドリンクだった。そして彼は自分の分としてグラスワインを手にしていた。また私の隣に座るとさっとグラスを重ねてきた。

「乾杯」

彼はニコリと微笑むとワインに口をつけた。

「乾杯……」

私も彼から受け取ったグラスに口をつけた。甘くて飲みやすいドリンクだった。

「少しアルコールを減らしてもらったからさほど酔わないと思うよ。でも知らない人からもらうドリンクは気をつけないといけないよ」

こういう場所で甘いドリンクをもらう時には気をつけた方がいいと思うどこかで聞いたように思う。飲み口がいいと進んでしまい、酔わされてしまうから気をつけろ、だったかな。でも自分からアルコールを減らしてもらったと話す彼は誠実な人なのかもしれないと思った。

彼は自分の名前を瑛人(えいと)と名乗った。私も名前だけ、悠里と教えた。私たちは今日の料理の話や、そこからどんな料理が好きかなど当たり障りのない話をしていたが、彼は話題を広げるのが上手で、話していてとても楽しかった。こう言うのを話し上手の聞き上手というのだろう。
気がつくと乗船した埠頭に戻って来ていることに気がついた。楽しかった時間もここまでなのだと思うと少し残念に思ってしまう。そんな私に気がついてか、彼の本心なのか私の様子を探るように声をかけてきた。
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