蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
約束の日を指折り数えていたがやっとその日になった。
私はホワイトのニットにグリーンのスカートを合わせ、黒のコートを羽織るとロッカーから出た。今日はすでにスペイン料理と決めていたのでいつもの通り現地集合の予定だ。約束の19時にはまだ少し早いが、電車に乗ったところで隣の車両に桐生さんも乗っているのが見えた。あ、と思い思わず手を振ろうとしたところで誰かと会話していることに気がついた。よく見るとWALのCAで、その中でも一際目鼻立ちが整っており日本人離れした顔の人だった。彼女は何度となく桐生さんと同じ便に乗務しているのを見かける人で、人を見下したような物言いや態度をグランドスタッフや他の地上職員にすると、あまり良くない評判の人だった。そんな人でも顔立ちの良さや人によって態度を変えているからなのかパイロットやお客様からの評判はいいと聞く。そんな人が桐生さんと笑顔で話している様子に驚いてしまう。普段なら表情を変えることがない彼が今は笑顔を浮かべている。そしてさりげなく彼の腕に自分の手を絡ませるように甘えたような態度をとっている。空港からの電車なので誰が見ているともわからない状況なのに堂々とした様子で私も目が離せなくなってしまった。
今日これから私と食事に行くんじゃなかった?もしかして、もういいと思われた?とネガティブな感情が私の中で蠢く。
もうすぐ彼と約束したお店の最寄駅に到着する。彼はどうするのだろう。
駅のホームに電車が入るがまだ、彼女の手は彼の腕に回されたまま。ドアが開くと彼は彼女の手を離し、さっと電車から降りてしまった。呆気に取られ見ていると彼女も同じようにぼうっとしていた。そしてドアが閉まってしまった。
まずい、と思ったが私は電車から降りそびれてしまった。ホームが遠ざかるのを横目に、また隣の車輌にいる彼女を見ると先ほどまでの笑顔は消え去り、唇をかみしめていた。
< 51 / 125 >

この作品をシェア

pagetop