蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
「ま、せっかくなんだから一杯飲もうか」

桐生さんの向かいに座る私の隣に何故か結城さんが座ってきた。

「おい」

桐生さんに自分の方に座るよう言われた結城さんはクスクスと笑いながら席を移動した。彼らはワイン、私はサングリアを注文するとグラスを合わせた。すぐに注文したタパスが運ばれ、ピンチョスやアヒージョ、パタタスブラバスが並べられた。
各々が自分の取り皿にとり、気を使わずに食事が進む。早く帰れと言うものの気やすい感じがいつもの彼らの仲の良さを感じさせられた。桐生さんって私が見かける時はいつもクールだが、友人になると気さくなところもあるのだと思った。私だけが知っているわけではないのだとまた今日はガッカリしてしまった。

「悠里ちゃんは最近仕事どう? この前も中国語を流暢に話していたよな。すごいと思ったよ」

「おい、悠里ちゃんって呼ぶな!」

結城さんに名前で呼ばれるのは初めてだが、その雰囲気から特別な意味を持たないとわかるような軽い雰囲気だ。

「はいはい、お前はうるさいな。中国語はどこで勉強したの?」

隣に座る桐生さんを手で制し、結城さんは私に話かけてくる。

「えっ、中国語は大学からです。そのまま話さないと忘れてしまうから今でも月に4回フリーレッスンで受講しているんです」

「それはすごい」

「そんなことないです。英語だけではなく他の言語もわかったほうが職業柄いいなと思って。でもまだまだ伝わらないこともたくさんあるので頑張っているところです」
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