蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
グアムから戻る機内、ずっと落ち着かなかった。
当初の予定通り彼とは別の便での帰国となった。結婚の約束をした今、一緒の便に変更しようかと思ったが満席で変更できなかった。
私は彼の便を見送ると次の便で帰国するためデューティーフリーを見て回っているとWALのCAに偶然にも出くわしてしまった。

「あら、今日帰国? ご友人とは一緒ではないの?」

行きに空港で話かけられたCAも一緒におり、そう話しかけられてしまった。

「えぇ、現地集合、現地解散したので」

「あら、そうなのね。いいご友人なんでしょうね」

どういう意味なのかわからなかったが彼女たちの視線が私の手にあることに気がついた。彼にはめてもらった指輪をあれからずっと嵌めていたのだ。私はさりげなく手にしていたバッグで指輪を隠したが彼女たちの視線は冷ややかなものだった。

「それじゃ」

私はそそくさとその場を離れたが、きっと彼女たちはこの時間にここにいるということは私が搭乗するから便の担当なのだろう。晴れやかな気分になっていたのも束の間、現実の戻され少し気が滅入ってしまった。私は指輪を外すとケースに入れ、バッグの中に大切に入れた。
案の定彼女たちの勤務する便での帰国だったが私は寝て過ごし、会話を交わすこともなく日本に到着した。
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