狂気のお姫様


「ヴッ…ご、ごへんはさ…」

「ごめーん。何言ってるか分かんないから第二弾いっとくー?」

「やめっ…イ゙ッ!!!」


女は頭でも割れたのか、おでこから血が流れている。

それを見ても笑いが込み上げてくるんだから、この狂気はどうすることもできない。


「あっ、そうだ。せっかくのトイレなんだから水を使わないと」

思い出した、というように手をポンッと叩くと、ぐちゃぐちゃの顔の女が顔を青くしながら私を見上げる。


「やめ!やだ!!やめで!!」

女の髪を掴んだまま、洗面台まで引き摺り、蛇口を全開にしてそのまま頭を突っ込んだ。


「ガッ!!やっ…死ぬっ…!!ガフッ!!」

「だねー」

溺れて苦しいのか、手足をバタバタさせるが、力では私には敵わない。


1回ザバッと顔を持ち上げると、女は醜く酸素を目一杯吸い込んだ。

「ゲフッ!!ヒュ-…ぁっ…」

「パクパクして、魚みたーい」

もう一度吸い込もうとしたところで、また頭を突っ込んだ。

「ガフッ!!!ブクブクブク!!!」

「あはははは」

本当に殺したりはしないよ。ただ、私の気が済むまでやり返さないと、これじゃ浸水した靴が浮かばれないのでね。




「うわぁぁあ!!!!」

「あ、忘れてた」

いきなり飛んできたこぶしをひょいっと避け、そういえばまだこいつ殺りきってなかったな、と回し蹴りをお見舞いする。

そう、便器に倒れ込んだ2人目だ。


「ちょっとちょっと、その汚い体で襲ってこないでよ」

1人目の女は、私が手を離した隙に酸素を貪り吸っていて、座り込んで水を吐き出す。


「はぁっ、はぁっ、殺してやる!!!」

襲ってきた女は、目が血走っていてなんだか今にも爆発しそう。

「あっそう」

そんな現実にもできない言葉、よくも口にできるものだな。殺してやると言われたところで、なんとも思わない。あぁ、逆にやってやろうとは思うけど。

「うわぁぁあ!!!!」

「それしかできないの?」

殴りかかってきた女の腕を掴み、

ボキィッ

本来とは違う方向に曲げると、

「ぃぎゃぁぁあ!!!」

途轍もない叫び声と共に、床を転げ回る女。

「うるさい」

バキッ

そのまま顔を蹴ると、ピクリとも動かなくなった。

「え…ふ、2人とも…」

さすがにもう私には手も足も出ないということが分かったのか、はたまた逆方向に曲がった友人の腕を見たせいか、女の顔は絶望一色。

そういう顔を見る時が1番楽しい。

「く、狂ってる…」

「褒め言葉をありがとう」

ただ、もう飽きたんだよね。

「やめっで!!」

ガンッ

女の頭を掴みあげ、洗面台に打ち付ける、と、

女は案の定を気絶した。

が、


「嘘でしょ…」

プシャ-----…

蛇口が壊れて、頭から水をかぶってしまった。
< 144 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop