狂気のお姫様
「ということなので、靴下さようなら」
「あっ」
靴下もポポイッと脱ぎ捨て、あらわになる白い生脚。
思わずそこに目がいき、魅入ってしまう。
「何見てんだよ変態」
「足が見てって言ってくる」
「今ならお得。その股についてるものと一緒に目も潰せます」
「この子ほんと物騒なんだけど!!」
そして、本当に潰しそうだから怖いんだけど。
「寒い」
髪は乾いたにしても、まだ服は濡れている状態なので、律ちゃんはぷるぷる震えている。そんな状態も可愛いが、風邪をひいてしまっては可哀想だ。
陽介でも呼ぶかな。
「陽介呼んでみるわ」
「えー…」
「反対?」
「怒られそう」
椅子の上で体育座りしながら大きい俺のカーディガンですっぽり足先まで覆う律ちゃんは、ぶーぶー言っていて、もはや母親と子供。
「ドライヤーで全身乾かす」
とうとう無謀なことを言い出し、腕を乾かしはじめた。
まぁ、いつかは乾くと思うけどさ。
余程陽介に知られたくない、というか怒られたくないみたいだ。
「鳴さんてこないだのテスト何位だったんですか?」
「え、なんで?」
「なんか頭いいらしいっていう意味分からない噂が」
「頭いいってのは合ってるからね??4位だったし♡」
「単細胞みたいな髪色してんのに…」
「ドライヤーの音で聞こえないと思ったでしょ。全部聞こえてんのよ」
こないだの直子さんの一件からどことなく、ていうか完全に冷たくなった律ちゃん。
あれは完全に俺のせいだし、あんな気持ち悪い女には二度と会いたくないけど、律ちゃんの頬っぺにキスができたのでプラマイゼロ、というかむしろプラスだろう。こんなこと言ったら殺されるが。
律ちゃんみたいに俺のことをなんとも思ってない子はたくさんいると思う。小田ちゃんもそうだし。
ただ、そういう子は話しかけてもこないので、自分から話しかけなければ関わることもないのだ。
つまりはあの頭の悪い女たちの相手をしてしまう。
別にチヤホヤされるのも嫌いではないし、むしろ好き。だから関係を持つのだって全然抵抗がなく、辞める気も今はない。が、こうやって律ちゃんみたいな子と話してると、どうしてもそっち側に行きたくなってしまう衝動に駆られる。
「罪な女だね律ちゃん」
「左腕乾いた!!!!!!!!!」
「うん聞いて」
完全に無視である。
【side end 四ツ谷鳴】