狂気のお姫様
さすがに仲の良い人が来てやっと気が休まったらしい小田。
が、何か納得のいかない男が1人。
「小田」
「なんですか」
「俺は蓮だぞ」
「そうですね」
「小田」
「なんですか」
「俺の名前は蓮だぞ」
「そうですね」
無限ループやめろ。
先程小田のところに駆けつけた長谷川蓮だったが、何もなかったかのように表情が無の小田。いつもの小田だ。
何を喋っていたのかは気になったが、絶対不毛だろうな。
ていうか、
「誰がどれ乗って帰るんだこれ?」
そう、それだよ。問題はそこだよ佐々木夕。よくぞ言ってくれた。
ちなみにだが、長谷川蓮は佐々木夕の後ろに、愁さんは陽ちゃんの後ろに、鳴さんは1人で乗ってきたらしい。
正直、帰るところ一緒なもんだし、陽ちゃんの後ろに乗って帰りたい。が、愁さんが陽ちゃんの後ろに乗ってきちゃったがためにそれが言いにくいのだ。
「愁が俺の後ろのったらうまくいくんじゃね?」
しかし救世主は突然現れた。
発言したのは金髪ホスト…もとい鳴さんである。
よくぞ言ってくれた。はじめてあんたを褒め称えるよ、とキラキラした目で見つめると、バチンッとウインクされたので早々に目を逸らした。きもい。
「まぁ俺と律は帰るとこほぼほぼ一緒みたいなもんだしなー」
「えー、俺鳴の後ろ嫌なんだけど。振り落とされる」
どんな蛇行運転だよ。
愁さんが悪態つくって、相当な運転だと思うんだけど…。いやでもなんか想像はつく。奴の後ろには絶対乗るまい。
愁さんには悪いが、振り落とされないように頑張ってもらおう。
「じゃあかなみんは俺の後ろかなー」
「お願いします」
小田は天のバイクになんか死んでも乗らないと思うし、よしよし、これで丸くおさまった。
が、
「む。なんで蘭の後ろなんだよ」
やっぱりこの男は納得しないらしい。
「だって兄貴免許持ってないじゃん」
「…」
残念ながら瞬殺である。南無三。
ガクッと項垂れた長谷川蓮は、佐々木夕の後ろに渋々乗り、「免許…」とぶつぶつ呟いている。
同じく愁さんも鳴さんの後ろに乗るが、「お前絶対普通に運転しろよ」と念押ししている。なんだか珍しい光景だ。
「合点!」
「最悪だ」
最悪だろうな。
そしてだ。
「奏見!!!!!」
バカのご登場である。