狂気のお姫様
第9章
第1節 閻魔大王を待つヒロイン
「清々しい朝だな」
「頭いってんのか」
「え、なんで朝から暴言吐かれた?」
どこからどう見ても晴天。新しい朝だろ。希望の朝だろ。
「私の心は曇天だ」
「え、小田が曇天なんて言葉知ってたことに驚き」
「お前さては心ないな?」
正門でばったり小田と会ったので、というか、何故かこいつが私のことを待ち伏せしていたので、一緒に教室に行っているのだが、なんだか疲れきった顔をしている。こんな気持ちの良い朝なのに。
「昨日の出来事への精神的ダメージがだな…」
「楽しかったよな」
「もう誰かこいつの脳みそ取り替えてくれ」
「いやでも、雑魚ばっかりだったから、楽しかったってのは語弊があるか」
「語弊どころの話じゃない」
確かに、慣れていない人にとっては、昨日のような出来事は心身にくるだろう。
「寝れなかったわ…」とのそのそ歩いている小田の気持ちも分からないことはない。
だから人がこんなに明るく接してやってんのに。
「ていうかだよ東堂」
「ん?」
「あの女どうすんの」
「あぁ」
小田が生気を吸われたような顔をしている理由のもう1つはこれだ。鹿島杏奈。
「そんな顔してたら鹿島杏奈の思うツボだぞ小田」
「それはそうだけど…」
「と思ったけど、小田って毎日大体そんな顔だよな」
「お前には人を労る気持ちはないのか」
お前にだけは言われたくない。
「私の予想では朝のうちに接触をはかってくるんじゃないかと思ってたんだけどな」
「朝くらいゆっくりさせてくれよ…」
小田は悪態をつくが、何かしらアクションが起こってもおかしくないのだ。
昨日のことは奴の耳に入っているのだろうか。しかし、空郭は間違いなく殲滅した。誰かが奴と連絡をとることは難しいと思うのだ。
ということは、まだ知らない…?
どちらにしろ、今日私たちが学校に来たことは耳に入っていると思う。
奴の性格からして、私たちがどうなったかは絶対に知りたいはず。今日のうちに接触をはかってくるはずなのだ。
「鹿島杏奈に会いたくないから東堂のこと待ち伏せしてたのに…」
「会っても蹴散らしてもらうためだろ」
「当たり前だろ。絶対に一人のときに会いたくない。今日はトイレも一緒に行こうな東堂」
「断る」
なんて生産性のない連れションなんだ。
「ま、そんな会いたくないとか言ってたら会うんだよ」
「いややめろ。東堂のその予言は当たるんだよ。経験済みなんだよ」
「当たったみたいだぞ」
あ、小田の顔が死んだ。