狂気のお姫様
「律ちゃん!!ひどい!!鬼!」

体育祭が無事終わり、汗だく且つ砂埃まみれの体操服から着替えようと教室に戻っていると、同じチームの2人に遭遇した。そう、金髪と銀髪だ。

私を見つけるなり発狂した鳴さんに冷たい視線を送る。

「私、何かしましたっけ」

そもそも会いましたっけ?とでも言うように素知らぬ顔をすると、金髪は「お、恐ろしい子…!」と右手で口元を覆う。マダムか。

「そもそもあのバツは愁さんのですもん」

絶対に私は悪くないと思う。すべての元凶は、お前の隣で涼しい顔をしている銀髪だぞ。

「私だってハンカチがすり替えられてなかったらあんなことしませんよ」

「愁お前…!」

「アレは追いかけてきた夕が悪い」

いやそういう競技なんだけど???

しかもあんたならあの性悪チビから逃げきれるでしょ。逃げるのが面倒だっただけだよね?私に面倒事押し付けてきただけだよね!?

私は息も切れてきて、バツのハンカチを守りきれなくなると思ったから鳴さんのとすり替えただけであって…。なんて、その場に都合の良い金髪が現れたからだけど。


「俺あのあと大変だったんだからね!?」

「陽ちゃんに捕獲されたみたいですね」

その場面、見たかった。


「情けない」

銀髪は興味なさそうに欠伸をする。

「待て。もとはと言えば愁のせいだろ」

それはもっと言ってほしい。

「鳴、自分がバツ持ってて、律に遭遇するだろ。お前、どうする?」

「すり替えるわな」

「おい」

こいつら本当に頭がイカれてやがる。え、私って一応女の子だよね?か弱くないタイプであるとは自負しているけど女の子だよね?

「味方のバツとすり替える競技じゃないですからね」

私が言うのもなんだが。
でもこいつらに真っ当なことを言ったって無駄なんだ…。


「それにしても律ちゃん、俺にあんな熱烈なハグをしておいて…、俺の気持ちを弄んで…」

「人聞き悪いんでやめてください」

あれをハグだと言えるなら多少の追突事故はハグだぞ。


「…ハグ?」

鳴さんを適当にあしらうと、今度は銀髪の雲行きが怪しい。


「ハグってなに」

「もしかして愁、されてないのか?律ちゃんからのハ・グ!」

うざ。

「ハグじゃなくてタックルですよ」

呻き声あげてたくせに。

「正直まじで内臓出るかと思った」

それはごめんて。
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