狂気のお姫様

鹿島杏奈の取り巻きたちが腕を組み、仁王立ちで圧をかけてくるが、はっきり言ってこっちは何も悪くないのでどうでもいい。


「みんなやめてっ。ごめんね律ちゃん…私たちが邪魔だったから…」

早速ボス登場。

ただ単に『ごめん』と言えばいいのに、何故そんなに被害者ぶるのか甚だ疑問だ。

「杏奈!謝ることないって!」

「言い掛かりつけてきてるだけでしょ」

口々に文句やら悪口やらを言うが、こいつらは頭が悪いのか。私がお前らに言い掛かりなんぞつけるわけないだろう。

ただ、鹿島杏奈はちょっとは頭がいいらしい。自ら墓穴は掘らないか。


「あのさ、言い掛かりも何も本当のことなんだけど」

「はぁ?」

お昼ご飯を早く食べたいのでいちいち向かって来てくれなくていいんだけどな。

「ただでさえ昼で人が多いし、さして広くない廊下で集団で話してたらそりゃ邪魔になるでしょ。さっきから迷惑そうな顔して何人か通っていったの見えてないの」


ちなみに小田はというと、私の影でそっと気配を消してやがるので、昼飯はおごってもらおうと思う。


「は?だからってそんな言い方ないんじゃないの」

『言い掛かり』という部分についてはもう反論ができない女たち、今度は私の言い方に文句をつらつら吐いてくる。

が、本当にこいつら頭が悪い。


「言い方?私『ごめん』って最初につけたよね。邪魔だったけど、一応楽しげに話してたから話の腰を折ってごめんねって気持ちで『ごめん』ってつけたんだけど?」

ちなみに『楽しげ』という部分については皮肉である。

「あと『通してもらっていい?』ってそっちに伺いをたてたんだけど、それも聞こえてなかったの?別にあなたたちの廊下じゃないのにわざわざ『通してもらっていい?』って聞いたんだけど」


ここまで言うと誰も言い返してくる奴はいない。
だって私が言っていることは正しいからな。言い掛かりをつけてきたのはどっちだっていう話だ。廊下はみんなのもの。小学生でも分かるぞ。


こら小田、後ろでサイレント拍手すな。こいつらに見えてないからってふざけ倒しやがって。


「ごめんね律ちゃん!私が悪いの!」

ほぉ。

取り巻きたちがもう何も言えないと思ったからか、鹿島杏奈が涙ながらにそう訴えてくる。


「私がね、ちょっと友達だと思ってた子に…」

「あ、別に話の内容興味ないからいいよ」

「え…」

ポカン顔の鹿島杏奈。その答えは予想してなかったのだろう。そもそも話を聞いてもらえないとも思ってなかったのだろう。

『可哀想な鹿島杏奈』を私に演じられると思ったら大間違いなんだけどな。

悪いけど、お前が泣いてた理由なんてどうでもいい。しかも聞こえてたし。さっきでかい声で吠えてたじゃねぇか。私が話してる根底にあるのは『廊下で広がって話してるから邪魔』ということなので、話してる内容なんて興味ないし話されるだけ時間の無駄なのだ。
< 66 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop