狂気のお姫様
ガサガサッ

ガサガサッ


今日も今日とて授業が暇だったので、抜け出して学校散策をしていると、草むらを掻き分ける音が耳に入る。


「あれは…」


一応1階の廊下に身を潜めていると、少し疲れた顔をした金髪タレ目。

なんだかいつもと様子が違うな、と思いつつ、気づかれないように後ろから近づく。



「何してるんですか」

「うわっ!!」


いい驚きっぷりだ。


「ちょ、え、律ちゃんか、あーもう、びっくりしたでしょうが」

「まじでやばい顔してましたけど」

「もー、バカ。今驚かすのはなし」

「?」


金髪タレ目、もとい四ツ谷鳴は、ため息をつきながらしゃがみ込んだ。


「なんでこんなとこにいるんですか?」

「こっちのセリフなんだけど」

「散歩です」

「じじぃか」

いやそこはせめてばばぁ。

「四ツ谷さんは」

「女から逃げてた」

「わーお」

「まじで面倒な女に付き纏われててさ、そいつかと思った」


あー、なるほど。だからそんなに驚いてたのか。


「え、そんなに面倒なら蹴飛ばしたらいいんじゃないですか?」

いつかのケバ女のようにな。


「触れたくない」

「え、そんなにやばい女なんですか」

「多分蹴飛ばしたりすると『どこがいけなかったの?』って言いながら永遠についてきて『ツンデレなのね…』って自己解釈する奴」

「あ、無理」

「気持ち悪い」


心底嫌そうな顔をする四ツ谷鳴。

今日も朝からその女に遭遇し、付き纏われそうになったところを逃げてきたらしい。

ていうか女たらしだからそんなやばい奴にストーカーまがいなことされるんじゃないか。自業自得感は否めないじゃないか。


「今自業自得だって思ってるでしょ」

「えー」

はい、とは言わないでおこう。

「他の女の子たちはちゃんと俺と割り切って関係をもってるからね」

「ほぉ…」

「俺もそういう子にしか手出さないし、その上で『なんで私が1番じゃないの』って女は切ってるからなぁ」

「ただその女は別格だったと」

「そ」


割り切ってるにしても、そういう関係をもつということが軽くカルチャーショックではあるけども。


「無理。まじで無理」

「お疲れ様です」

「律ちゃんがやっつけてくれたらいいんだけど」

「嫌ですよ」


そんな女願い下げだ。嫉妬深くて自己解釈激しいヤンデレ女だろ。私が刺されでもしたらどうするんだ。
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