年の差十五の旦那様 外伝②~いつか、それが『愛』になる~
 街の入り口付近にあるカラフルな外観のお店。

 扉を開けると、中には外観と同じくカラフルな品々が陳列してある。

「いらっしゃいませ」

 店員の女性が近づいてくる。

「今日はなにをお探しでしょうか?」

 にこやかな笑みを浮かべた女性の問いかけに、私はちょっと迷った。

「えっと、知り合いの子にプレゼントがしたくて。三歳の子なんですけど」
「では、こちらに――」

 女性に案内されたのは、三歳児向けの玩具コーナーだった。

 玩具は木工品が多い。色は自然の塗料で付けてるらしく、身体に害があるものではないと。

 私を玩具コーナーに案内してくれた女性は、別のお客さんに呼ばれてそちらに向かった。代わりにアルロイさんが近づいてくる。

「クレアさん。もしかして」
「はい。リッカルドさまになにかないかと思いまして」

 リッカルドさまのお顔を思い出す。本当は寂しいはずなのに、お兄ちゃんになるから……って、強がっている。

「本当は寂しいはずなのに、我慢しているリッカルドさまへのプレゼントです」

 旦那さまがお仕事でお忙しいことも、奥さまが体調不良なのも。リッカルドさまは理解している。

 だから、自分の気持ちを抑え込んでいる。寂しいことも口に出さず、一人で大丈夫だよってがんばっている。

「……本当は、甘えたい盛りでしょうに」

 零してしまった。

 でも、これが貴族のおうちに生まれた運命だというのなら、仕方がないのかもしれない。

 私がしゃがみこんで下の棚を見ていると、アルロイさんもしゃがみこんだ。

「そうでしょうね。……俺も似たような感じだったので、わかりますよ」
「アルロイさんも?」
「俺も三歳下の弟がいるんです」

 ……はじめて彼の家族のことを聞いたかもしれない。
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