年の差十五の旦那様 外伝②~いつか、それが『愛』になる~
「だから――って、クレアさん?」

 突然名前を呼ばれて、驚いてしまう。

 慌ててアルロイさんの顔を見ると、彼は目を見開いていた。

「……なにかありましたか?」
「なにか、とは?」
「いや、苦しそうな表情をしているので……」

 気づかなかった。

 私は自分の目元に指をあててみる。水滴が指につく。

「目にゴミが入ったみたいで」

 ごまかすように笑う。アルロイさんは納得していない様子だ。しかし、追及してくることはなかった。

 素直にありがたい。

「リッカルドさまへのプレゼント、選びましょう。ふふっ、どれがいいかなぁ」

 明るい声はわざとらしくなかっただろうか?

 ううん、絶対にわざとらしかったよね。それでも、私の話題の転換に乗ってくれたアルロイさんには感謝しかない。

(私とマリンは、ずっと一緒にいることなんてできないんだよね)

 本当はずっと前からわかっていたのだ。けど、どうしても考えたくなかった。

 私にとってマリンは、この世でたった一人の血のつながりがある子なのだから。
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