年の差十五の旦那様 外伝②~いつか、それが『愛』になる~
(まったく見劣りしていない)

 彼女が社交界に出ても、場に馴染むことは簡単に予想できた。

(……ロレインさん、すごいなぁ)

 私とは全然違う人だと、また思い知った。

 同時に、アルロイさんと話す彼女の姿も脳裏に浮かぶ。

(お二人がどんな関係なのか、気になって仕方がない)

 アルロイさんは私に本気だって言うけど、私が彼女に勝っている部分なんてない。

 お付き合いして結婚するなら、ロレインさんのほうがいいんじゃないの?

(……私、なんか最近変)

 徐々に物語の世界に没頭できなくなった。

 奥さまの退屈を紛らわせるために、きちんと内容を頭に叩き込んで、感想を言わないとならないのに。

 目を伏せて、軽く呼吸を整える。よし、これでもう大丈夫――。
< 46 / 59 >

この作品をシェア

pagetop